ハワイ・マレー沖海戦
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(12件)

勇敢23.1%かっこいい17.9%スペクタクル17.9%ゴージャス10.3%切ない7.7%

  • アニカ・ナットクラッカー

    5.0

    戦時中に公開された国策映画の代表作

    今回取り上げるのは、1942年に公開された東宝映画『ハワイ・マレー沖海戦』。戦時中の日本映画の作品レビューを書き込むのは初めてだ。この年のキネマ旬報ベストテンでは日本映画の1位に輝いた。ちなみに41年と42年のキネ旬は外国映画のベストテンは発表しておらず、43年から45年までの3年間はキネ旬ベストテン自体が中止になってしまった。 本作を企画したのは大本営海軍報道部で、国民の戦意高揚を目的とした国策映画である。こうした映画はほとんどが日本の敗戦とともに歴史の狭間に埋もれ忘れられた。その中で生き残り、現代の観客が観ることができる数少ない一本である。1984年11月に日比谷の有楽座と日比谷映画が閉館されたとき「さよならフェスティバル」で上映されたことがある。 冒頭に「一億で背負へ 譽の家と人」という標語が表示される。「譽(ほまれ)の家」とは戦時中の日本で、その一家から出征した兵士が戦死したことを指すが、本作を観て初めて知った。次いで「謹みてこの一篇を、ハワイ・マレー沖海戦に散華されたる、護国の英霊に捧げまつる。製作者一同」というコメントが表示され、戦時中の映画であることを感じさせる。 現代の目で考えれば、戦争で負けるのはもちろん、勝てる戦争だって絶対やってはいけないと思う。アメリカに戦争を仕掛けて勝てるはずがなく、昔の日本は無謀な道を突き進んだと言われる。しかし当時を生きる人々の選択を、今の価値観で審判するのが果たして公平なのだろうか?そんな疑問を感じつつ、一本の映画として楽しむのも有りではないか、と思った。 僕たちは日本が戦争に負けて甚大な被害を受け、なおかつ他国に被害を与えたことを知っている。本作で描かれる「予科練の精神」を軍国主義的だと批判的な目で観るのはもちろんだ。しかし初公開当時に観た人たちは肯定的な感想を持ち、「米英をやっつけろ!」と盛り上がる人も多かったに違いない。映画というメディアの影響力の大きさを考えさせられる。 予科練精神は、頑張りの精神、命令された任務はあくまでやり抜く絶対服従の精神、勝つまではどこまでも食い下がる敢闘精神、自分を犠牲にして全体の目的を遂げる犠牲的精神と語られる。「絶対服従の精神」の根底に流れるのは、命令は天皇(映画では「大元帥陛下」と言われる)から下されるという考えで、どんな理不尽な命令も陛下の命令として是とされるのが怖い。 日本で作られた戦争映画の代表作を一本だけ挙げろと言われたら、僕は「ひめゆりの塔」と答えるが、『ハワイ・マレー沖海戦』はその対極にある代表作といえるだろう。本作は爆弾を上空から落とす者の立場で描き、「ひめゆりの塔」は落とされる者の立場で描く。そして戦争では落とされる側に立つ非戦闘員が圧倒的多数なのが事実なのである。 両作に共通しているのは、藤田進がメインキャラとして出演していることだ。僕にとっては「ウルトラセブン」や「帰ってきたウルトラマン」の参謀としてなじみが深い。両作とも練習生や女学生から慕われる人格者として描かれるが、大きく違うのは「ひめゆりの塔」のラストで女学生を背後から撃つ場面があり、これが戦争の理想と現実の違いを表しているように思う。 藤田さんの出演したウルトラシリーズといえば、本作の戦闘シーンを担当した特撮監督の円谷英二である。水と火を使ったミニチュア特撮は迫力を出すのが難しいと聞いたことがあるが、本作ではそうした困難な特撮に挑んでいる。「ゴジラ」の冒頭で海上での船の爆発、「ウルトラマン」第1話で湖上での戦闘が描かれるのも、本作の精神を受け継いだと言えるだろう。 飛行機の実写がふんだんに登場し、クライマックスの特撮と組み合わせることで映画に深みを与えている。前半の舞台となるのが土浦海軍航空隊・飛行予科練習部(通称予科練)で、霞ヶ浦でボートの練習をしたり、複葉機で筑波山目指して飛行したり、帰省した主人公・友田義一(伊東薫)が霞ケ浦のワカサギを土産に持って帰るなど、茨城県のご当地映画の側面もある。 日本と戦う敵についても書こう。映画のラストで撃沈されるイギリス戦艦プリンス・オブ・ウェールズは、ドイツ軍の戦艦ビスマルク号と戦ったことがある。僕はテレビで映画「ビスマルク号を撃沈せよ!」を観たことがあるが、この映画は真珠湾攻撃より前の話だったのだ。予科練の練習生たちが、イギリス発祥のスポーツであるラグビーで大学生と対戦する場面もある。 最後に、友田の姉を演じる原節子の規格外の美貌にはやはり目を奪われる。友田の見る夢の中で、姉と妹が「魔女宅」のキキのような大きなリボンを頭に付けて、チョコンと座っている。「二人ともどうしたのさ。まるで気ち○いみたいじゃないか」という放送禁止用語も登場する。勇壮な戦意高揚映画の中で、ここだけが妙な異彩を放つ幻想的な場面であった。

  • qaz********

    4.0

    円谷の知られざる傑作

    この前の日曜、ブックオフ経堂店で「東宝戦争映画DVDマガジン」のソフトのみが1コインで売ってたので購入しました。 ストーリーは軍部主導の戦争活劇ですがあの「世界の円谷」こと円谷英二が特撮で関わってます。まだ「ゴジラ」を作る遥か昔の時です。 あの真珠湾攻撃のシーンの特撮は見事です! たしかに記録映像と誤解する出来です。そこは米軍が攻撃するシーンのみ記録映像を使ってます。 藤田進の仲間の零銭が攻撃され失速していく中、藤田は必死に励ましますがもう無理だと悟った仲間が最後の言葉を残し落ちていくシーンは特撮と本編の合成が見事です。 円谷は戦後、GHQに本作に関わった事で戦争加担と言い渡され暫く干される結果になりました。 そして60年代「ゴジラ」シリーズや東宝特撮やウルトラシリーズの大ヒットで一躍時の人になった為、東宝はそれに便乗してリバイバル上映をしました。

  • kor********

    5.0

    ネタバレ受け継がれる伝統の精神

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • mih********

    5.0

    勝ったら嬉しい!

    戦意高揚映画の‘高揚”の部分は、 気分が高揚することだと思う。 だとすれば、ダイ・ハードや インディ・ジョーンズや007だって 充分戦意高揚映画になりえる。 だって、 ダイ・ハード見てテンション低くいられる人っていないでしょ? それと同じ。 21世紀はテロリストをぶっ殺す事で興奮するのに対し、 軍国日本では米英をぶっ潰す事に興奮する。 今アメリカをぶっ潰す映画がはやらないのは、 そういうジャンルが西部劇みたいに落ち目だからであって、 別に第二次世界大戦は関係ない。 それに、 戦争してるかどうかに関わらず、 味方が負けて苦しんで野垂れ死にするような映画って、 一般受けしないでしょ。 でもって、 現代日本を歩む若い世代である私などは、 今作が最近の屈折した戦争邦画に比べて、 なんと新鮮で面白いと思ったことか! 実に主張がダイレクトである。 戦争の本質は、 戦闘に付随する陰気くせえ敗走話や人肉食などではなく、 敵を叩き潰す事だ。 勝ったら嬉しい! この映画はそんなシンプルなことを言っている。 米国海軍の太平洋艦隊を片っ端から轟沈し、 コンビナートを火の海に、 港は大爆発! 英国東洋艦隊の巨大な主力戦艦はイジメみたいに爆撃機で撃ちまくる。 敵戦艦はボンボン爆発してガンガン沈む! しかもBGMは『ワルキューレの騎行』!! ドンくさい九六式陸攻が、 まるでヒューイの編隊に見える。 やべぇ・・・カッコよすぎるぜっ!! セリフもいちいちキてる。  「機長!もう帰りの燃料しかありませんっ!」  「基地へ帰るとは思うなっ!」  「はっ!それならまだ充分あるでありますっ!(チョー爽やかな笑顔☆)」 そしてあの常軌を逸したラスト!!! 『軍艦マーチ』が流れる中を 超カッコイいゴツイ戦艦が艦砲射撃をしまくる映像を延々と流す・・・ なんでせう? このウツボツと湧き上がってくる感情は?? かっ、海軍に入りたくなってくるでありますっ!!! ・・・ああ、洗脳された・・・ 軍艦マーチでノリノリになった時点でアウト。 こういう軽やかなマーチに乗せられて、 戦争に負けたのかと思うと、罪深い曲ではあるが、 やっぱり良い曲だ。 以前、横須賀基地の軍楽隊コンサート聴きに言ったとき、 ラストの締めで『軍艦マーチ』を一番大きな音で演奏し、 会場全体が手拍子に包まれるというアブナい空間が広がっていましたが、 そのとき感じたフワフワした心地は、 感覚を麻痺させます。 この映画はちょうどそんなです。 でも、 それは決して今作がプロパガンダであるからではない。 面白い映画であるからだ。 訓練や郷里のシーンをのぞく戦闘シーンは今でも充分鑑賞に堪える。 『駅馬車』も鑑賞に堪える。 そして、この2本に共通して言えるのは、 とても面白いという事である。 戦争活劇を片っ端からプロパガンダにするのは簡単だが、 それがプロパガンダである事を理由に不等に評価される事  ―今作の場合では、「特撮はいいけど、‘プロパガンダだから”残念」的なこと― は、70年前のプロパガンダ見るよりもず~~っと危険だと思う。 というわけで、 なんだか好意的な文になりましたが、 戦闘シーン以外はなに言っんのか分からないという、 古い邦画特有の変な節回し&怒鳴り台詞で、 ストーリーは最後までわからず、 主人公(らしき青年)の名前も全然分からなかったので、 話を追うのはかなり困難です。 まあ、話らしい話もないんですけど。 最後に、 アメリカのプロパガンダは 普通の古い戦争活劇として500円DVDになっているのに、 日本のプロパガンダは腫れ物触るみたいにされなくちゃ いけないんですかね? 右翼みたいなことを言うつもりはありませんが、 戦争に負けるって言うのは、 つくづく業が深いですね・・・

  • ali********

    3.0

    1942年の日本の戦勝気分が分かる

    1941年のハワイ攻撃は綿密な準備と(結果的に)宣戦布告なき奇襲で、マレー沖作戦は英国のミスもあり、日本海軍が完勝した。その時点で作った、例外的な、景気のよい明るい映画だ。開戦初頭の日本の気分を知るのには、最適の史料である。 日本の戦争を正しいと考え、日本軍をもっぱら応援したい人も、この映画に共感するかもしれない。 けれども、現実の太平洋戦争の歴史は、そのあと苦戦、失敗、敗北に転じていき、兵士の犠牲も急増する。戦後しばらく経っての名画『太平洋の嵐』で、ミッドウェイ敗北に登場人物が「これが戦争だ」と歎じるような状況が、繰り返されるのだ。 本作のハワイ真珠湾攻撃のシークエンスは、最近の『連合艦隊司令長官山本五十六』などでも踏襲されている。たださすがに、米国相手の戦争で勝てるか、戦争を回避する方法(つまりアメリカ等が批判する中国侵略の中止)を取れないかと政治家や軍人が悩むストーリーも並行しておかれているので、当時の日本が、不安はありつつも、ギャンブルのように最初の作戦を成功させた歴史が学び取れる。 マレー沖海戦の方は、ほかには映画になっていないようだ。イギリスの誇る2隻の戦艦があっけなく沈むのは、気の毒な気もする。イギリス側の記録が、翻訳されて文庫本になっていたような読んだ覚えがあるが、当時は戦艦の強さがどの国でも過信されていた(だから日本は大和を建造した)のと、護衛空母が事故で付いて来れなかったことが敗因らしい。でも、この映画によっても護衛の駆逐艦は沈めなかったので、乗組員はある程度救助されたのだろう。(戦艦大和を沈めた大規模な米空軍も、1~2隻の駆逐艦は沈めずに残しておいた。戦争での儀礼ということか。) ちなみに、イギリスの別の有名な戦艦フッドの最後も、イギリス映画『戦艦ビスマルクを撃沈せよ』で、悲劇的に描かれている。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
ハワイ・マレー沖海戦

上映時間

製作国
日本

製作年度

公開日
-

ジャンル