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雨月物語

たーちゃん

4.0

ネタバレ妻子がありながらなぜ契りを交わした

溝口監督の作品は何本か拝見しておりますが、なぜかこの「雨月物語」は未見でした。今年(令和4年)の最初に何をみようかと思っていて、探していた時に「これだ」と思っての鑑賞です。 巨匠が怪談を撮影するとこんなに格調高い作品になるんですね。 藤兵衛役の小沢栄さんはあの「犬神家の一族」の弁護士役をやった小沢栄太郎さんですよね。私のイメージではあの小沢さんだったので、今回のようなアグレッシブな役をやっていたのでびっくりです。 この時代だから裸とかは出さないのですが、時代か時代なら溝口監督の作品を見るとバンバン出させたろうなと思う位、色っぽいです。 京マチ子さんの若狭は化け物と分かっていても色気のある役だなと思いました。 この怪談話をより怖いものにしているのは右近役の毛利菊枝さんの演技によるものが大きいと思いました。この乳母の存在感がより怖さを倍増させていました。 源十郎(森雅之)を若狭と結ばれるようにしたのはこの乳母の差し金であるところは大きいと思いました。 「お契りなさるがよい」なんて言われたらそりゃその気になってしまうでしょう。 でも源十郎が若狭の贈り物としての着物を見ていた時に、宮木(田中絹代)が嬉しそうにその着物をあてているところが幻想のように現れますが、その時の田中さんの可愛らしい事。 源十郎も藤兵衛も究極は奥さんの宮木と阿濱(水戸光子)のためにしたものだと思うのですが、欲張ったばかりに全てが夢と消えていくというのも皮肉なものです。 「立身すればお前がほめてくれると思っていた。」 身体に写経をされていて助かるというのは「耳なし芳一」のようでした。 源十郎が帰った後宮木が迎えてくれるが、次の日目が覚めると全部夢だったというのは「浦島太郎」のようでした。 でもなぜ源十郎が狙われたのでしょう。それはわかりませんです。 溝口監督のカメラワークはおそらくクレーンを使ってワンカットで俯瞰に撮影するカットが多様されていて、この時代では珍しかったのではと思いました。

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