源氏物語 浮舟
119分
源氏物語 浮舟
あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
作品レビュー(1件)
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4.0点
1957年。衣笠貞之助監督。源氏物語の宇治十帖を大胆に改変して現代的にわかりやすくした映画。大君の死に嘆く薫(長谷川一夫)は、その妹の浮舟(山本富士子)を知り魅かれ始める。しかし匂宮(市川雷蔵)が割って入ってきて、、、という話。男の浮気心に翻弄される一途な浮舟の話が、明確な二分法の世界で描かれています。 まず、当時の複数女性への通い婚の風習に反して、一対一の単婚が前提になっているので、女性は妻と浮気相手に二つに明確にわかれている。そのうえで、心の純愛を貫く薫ととにかく体を通じればよい匂宮という二人の男の明確な対比になっています。映画の構成上も、薫による死んだ大君への恋とその死後よく似た浮舟への恋、身近で起こる嫉妬による殺人とラストで似たような目にあう薫、という二つの似たものを反復する形になっている。 そして薫の扇子に対して匂宮の鈴という小道具の違いも印象的。心の誓いで愛を確かめ合う薫と浮舟のシーンでは薫の扇子がぱっと開いて気持ちの高ぶりをあくまで抑制的に描くのに対して、匂宮の浮舟への強引な接近シーン(ほとんど強姦)では匂宮がもっている鈴が四方に散らばる。「男女のことで命までかけることはない」という匂宮=市川雷蔵のセリフとともに、この散乱する鈴には心理的なものを信じない現代的で浮薄な精神が宿っているような気もします。
スタッフ・キャスト
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