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cyborg_she_loves

4.0

独特の美意識

価値観やセンスは時代と共に変わるものですが、とりわけ「エロス」に対するセンスは、この60年で別世界のように変わったんだな。  と、実感させられます。  「あまりに激烈な官能描写のゆえに映倫によって成人映画に指定された」というから、どんなもんかと思って見てみたら、は? これのどこが? という感じでした。  ヌードがない(全裸であることが暗示されているのみ)のはこの時代ですからわかりきってますが、もっと心理的な官能性というか、見ているこっちの隠れた倒錯した欲情を刺激するみたいな描写があるのかと思ったら、そういう点でもものすごく控えめです。  最近の映画は倒錯性欲でもイヤというほど生々しく描くのが普通になっちゃってるんで、そういうのを見慣れてしまってる目で見たら、これを官能映画として楽しめる時代は、もう終わってるなと痛感します。  でも、だからもう見る価値はない、っていうふうにならないところが、市川監督の才能なんだろうなと思いました。  当時の観客はオニ女に見えて寒気を感じただろう京マチ子さんのこのメイク。私は普通に、美しい、色っぽい、と感じました。アニメからそのまま出てきたみたいなブッ飛んだメイクしてる女性がそこらじゅう歩いてる今、むしろこれぐらいのメイクの方が素直に自然に色っぽく感じる。  京マチ子さんとの対比で色気も魅力も何もないという設定の叶順子さんは、いやいやどうして、すごくかわいくて、魅力的です。  ものすごい極端なメイクとキャラクター設定で観客の肝をつぶすつもりで作った映画なんでしょうが、今のセンスで見ると、むしろその端正な美意識がとても心地よく感じられます。  最後の結末は、(ネタバレになるので具体的には書きませんけど)愛欲と憎しみの果てにこんなになっちゃった、という光景が描かれるわけですが、これがまたそんなに残酷な感じが私はしませんでした。  結末に出てくるこの刑事たちのマヌケさ加減も含めて、まあ本気で恐怖感を抱かせるように作られた映画じゃないですね。  独特の美意識を堪能できる映画だと思いました。

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