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大菩薩峠 完結篇

ムービークリニック

3.0

ほし みっつ

大菩薩峠 片岡雷蔵版 三部作 最終回。 三隅研次監督から森一生監督にスイッチ。個人的には三隅監督で三部作観たかった。予想だが1961年の年に「釈迦」という大作を撮っていたための理由かと考えた。あくまで想像です。 前回の2作目のラストから始まる。これまた2作目の冒頭と同じく唐突に始まるのと人物たちがそれぞれの行動をしているため連続して観ないと展開についていけないかも。しかし今回は監督が変わったからか、前回までの簡単なあらすじを説明しているためなんとなく流れはついていけるかも。 崖に追い詰めらた竜之介は、またもや深い霧によって敵討ちから逃れる。中村玉緒演じる女性は今回は三役。逃れた竜之介を連れて逃げる「お豊」。しかし後に病で亡くなる。次に竜之介を助ける「お銀」。竜之介の狂気に触れて悩む。そして幽霊となり苦しめる「お浜」。 これ全て玉緒さん。最初に殺された妻の「お浜」が常に憑依するように瓜二つの女性となって竜之介に近づく。 今回は怪談要素が3分の1といってもいいだろう。 雷蔵のイケメンぶりに合わせているかのように、劇中では次々と現れる美人女性に助けられて惚れられる。ところどころで女性のために骨を折ったり良い行いをするのだが、玉緒さん演じるお浜絡みの人物に出会うと狂っていく竜之介。 今回は竜之介の闇が大いに表現されてるので、恐怖の主人公という表現と、助けられて落ち着いて暮らす普通の人物像とのギャップが激しくて面白い。 未完で終わってる原作小説、30年あまり続く長編。という観点からしっかりした結末を見せるということは無理であろうと感じていた。 ラストで主人公に殺された人々の亡霊が脳裏に浮かび狂乱していく竜之介。そして竜之介は・・。 無難な締めであったと感じた。 完結編は、それほど物語に面白みは少ない。主人公は目の怪我が治らないが襲いくる敵を斬りまくる。土地土地で出会う女性に世話になり放浪を続ける。あとは敵討ちのため後を追う兵馬。 この流れが骨子であって、三役の玉緒さんの妻や亡霊役も土地と財産を奪いたい旗本の陰謀も添え物的で弱い。 ましてや、最初から苦難の道を通って兵馬に恋心抱く「お松」は、探す様子はあるものの、「お松さんならここにいるよ」の一言でストーリーから飛ばされてしまっている。行く末と恋愛模様が楽しみであったのに残念であった。 ただ最後に、息子の名前を絶叫する主人公竜之介の姿に、哀愁と親心と後悔と無念が入り混じる壮絶なシーンであったと思う。 大菩薩峠 雷蔵版 見事であります。

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