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瘋癲老人日記 (1962)

監督
木村恵吾
  • みたいムービー 5
  • みたログ 23

3.38 / 評価:8件

山村聡大暴走!

  • bakeneko さん
  • 2010年10月19日 10時31分
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

谷崎潤一郎の原作を映画化した作品で、晩年の谷崎の主要テーマである“衰えつつある男性の官能と生への執着”を描こうとした野心作ですが、ちょっと演出の匙加減を間違えた為に“喜劇&馬鹿映画”としても楽しめる一遍となっています。

本作は“神保町シアター”という映画館で鑑賞したのですが、スクリーンに映し出される映像とそれを鑑賞している観客の気持ちが完全にシンクロしていて、劇場は不思議なことになっていました。
どういうことかと言いますと、
(古い邦画を主に上映するので)この映画館の観客の主要年齢層はシニア世代で、更に今回は“若尾文子”特集なので、観客の大半はこの映画の主人公である山村聡演じる老人と同世代の男性であり、若尾文子に執心する嗜好も一致しているのであります。
そして(アクション映画や恋愛映画を観ている観客が主人公に同一化する様に)、劇中人物に乗り移った気持ちで“若尾文子扮する若嫁”に、玩弄される愉しみを堪能しているので、スクリーンの内と外の完璧なシンクロを体験出来たわけであります(”もっとその脚を触らせてくれ~”の心の声がスクリーンの内外から...)。
成瀬や小津の映画等で、いつもはどっしりと落ち着いた“誠実で朴訥な”大人の貫禄を魅せている山村聡ですが、時々イメージとかけ離れた役で観客の度肝を抜いてくれます(「お国と五平」はびっくりしたなあ!)。
本作は彼の演じた役の内でも抜群のイメージ破壊キャラで、その怪演は普段の役の印象があればこその異次元感覚に観客を誘ってくれます。対する若尾文子のキャラクターも「しとやかな獣」に匹敵する“突き抜けた悪女”で、この2人の掛け合いは凄すぎてシュールな笑いの境地に達しています。
ただ、“文章で表すこと”と“映像化すること”とは、“鑑賞者に与えるインパクトが質・量共に異なる”ことを計算していなかった為に、やり過ぎ描写にしばしば爆笑させられて、本来の深刻なテーマから離れてしまった帰来はあります(つまり“呆れる&大笑い”で、落ち着いて思索出来ないのですねーそれほど楽しい作品なのですが...)。

谷崎作品の文学的格調を求めるとズッコケますが、超一級の“怪演”を観ることの出来る喜悲劇として気楽に観ることの出来る娯楽作品として楽しい映画であります。



ねたばれ?
1、本作の鑑賞の前に成瀬の「山の音」(川端原作:舅と嫁の美しい感情を文学的に格調高く綴った名編=山村聡の誠実な枯淡の味わいと原節子の善良で爽やかな嫁の情感を描く)を観ておくと、一層楽しめますよ~。
2、年配の御夫人の方、御主人が映画を観に行っているからといって安心してはいけません!

詳細評価

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