正体を現すと眼色が変わるのね~
- bakeneko さん
- 2011年4月26日 16時24分
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室町時代末期の連歌師・宗祇による『宗祇諸国物語』に材を採った小泉八雲の有名な怪談“雪女” の拡大脚色版で、妖怪百物語やガメラ&大魔神を生み出していた京都大映の“妖しさを映像化した絵創り”を鑑賞しながら、(原作からかなり違ったものになっている)“物語に突っ込む”楽しさも堪能できる作品であります。
え~。古今東西この“雪女”の原作パターン(異種嫁との婚姻説話)は世界中にあります。
もちろん、雪の降らない暖かい地方では女の正体が虎だったり、竜だったり、狼だったりしますが、基本構成は同じであります(正体は怖いものであります)。
これほどまで世界中に同じパターンの話が盛況なのは、このお話が人種&文化を超えた普遍的な真理(男性への警鐘)を含んでいるからであります(また始まった)。
つまり、物語の意図する箴言は2つ在って、
1、 静淑な彼女も本性は恐ろしいものかもしれない!
2、 妻に過去の恋愛遍歴を正直に打ち明けると恐ろしいことが起きる!
という地球上の全てのエリアの男たちが身をもって体験した恐怖から得た知見であります..(えっ違う?)。
“雪女”の原作に忠実に創られた作品では1965年の「怪談」の第2話(40分位のエピソード)という、岸恵子の雪女の美しさとシュールな“眼”に象徴される美術に瞠目させられる傑作がありました。
本作はその3年後の作品で、同じものを作ってもしょうがないという意気込み&79分の長さの独立した作品とするために、多くの脚色が付け加えられています。
つまり、
物語の舞台:越後→岐阜
主人公の職業:木こり→仏師
となっていて、“如来像の建立”が物語の中心となっています。
更に、雪女に懸想する地頭、正体を感づく巫女などが登場して、雪女の特殊技能を示させる呼び水となっています(そして、雪女は特殊技能を複数の場面で発揮することになるのであります)。
物語の肝となる藤村志保の雪女は、金色の目と能狂言のような黒いメイクで滑るように動き、靄状の形態から実体化する等、幻想的な美しさ&怖さを魅せてくれます。
そして、超能力を発揮するにはストレスが必要で、犬神明や超人ハルク、大魔神の様に“いじめられてからの一発逆転変身”のカタルシスを出しているあたりが大映らしい特徴となっています。
もちろん、無理に設定をややこしくしたために突っ込みどころも満載で、登場人物の性格も描き切れていない部分があります(特に仏師の主人公の我儘芸術家ぶりが..)ので、そちらの方でも楽しめる珍品ともいえる映画ですが、全体的に格調高く、美しく創ってあるので子供が見ても大丈夫な“もう一つの雪女”のお話であります。
ねたばれ?
1、“雪女”をモデルにした特撮怪獣といえばウルトラQのペギラ!
本作等の雪女との類似性(冷凍光線を出すときの動きや翼=雪女の着物の袖等)を観察すると面白いですよ!
2、で、如来像はどうなったの?
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