25年ぶりに観て。
- ake***** さん
- 2020年4月13日 16時29分
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- 役立ち度 4
- 総合評価
やや観る人を選ぶ作品と思います。ドストライクは10代の女子でしょう。
それから、過剰気味な演出と演技(大林作品としては控えめな方です)が受け入れられない人は最後まで興醒めし続けるでしょうから、冒頭15分見てムリなら最後まで見る必要はないです。
低評価の人はこの演出が合わない人ばかりですが、この演出がこの映画の世界感を作っていますので、現代のリアリズム史上主義でこの作品を非難するのは的外れです。
ミュージカルを見て「なんで突然歌いだすの?」と言ってるようなものです。
個人的には、本作は生涯ベストの1つです。
NHK版を放送当時に観たのが高校1年生。
その後何度見たか分かりませんが、気付けば25年以上遠ざかっていました。
監督が亡くなった翌日、当時の私の年齢となる息子2人と哀悼を込めて鑑賞。
25年ぶりでも殆どのセリフをそのまま覚えていましたが、やはり時が経つと視点が変わるものです。
初めて岸部一徳の父親の立場を考える自分がいました。
千津子に頼ってしまっていたことに気付かされたのは父も同じ。しかし妻は心を病み、頼りない次女は測り知れないショックを受けている。
父は、崩壊しそうな家族を支え、自分が支柱になろうと頑張っています。
そこへ優しく接する女性が現れ、つい心が揺れてしまった。
当時は情けない男だと思っていましたが、自分が同じ年代になり、父親になって、初めて理解に至ることが出来ました。
あと、本作の重要なシーンである舞台裏でのセリフ。
「だからここが私の居場所」
姉の様になろうと背伸びをして頑張っていたけど、自分に向いているのはそこじゃない。人を裏で支えるのも立派な役目だし、引け目を感じる必要もない。
その事に気付く本作の最も大事なシーンの1つです。
この作品が若者の胸に響いたのは、自分は何が出来るのか、何を頑張れば良いのか、自分の居場所が分からず もがく気持ちを実加に投影していたのかなと思います。
ウチの息子たちは私には似ず、スポットライトを浴びる側の人間で、リア充の視点では本作はあまり響かないようでした。
つまり、本作が響いた人はちょっと苦い青春を送った人ではないかと、そんな事に気付くのでした。
監督のご冥福を心よりお祈りします。
素敵な作品をたくさん、ありがとうございました。
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