全てに反抗する生き様!
- bakeneko さん
- 2016年12月27日 18時18分
- 閲覧数 1256
- 役立ち度 2
- 総合評価
石井聰亙(現・石井岳龍)監督が、日本大学藝術学部映画学科の卒業制作として発表した自主制作映画で、あまりに完成度が高かったので東映セントラルフィルムの配給で全国公開された伝説の怪作であります。
え~本作は若い人にしか創れない映画であります。
映画創り初心者の―未熟さ、熱情、反抗心、野望、そして有り余るパワーが横溢している作品で、
何物にも隷属しないアナーキーな主人公の一直線で狂猛な暴走が、既存の社会モラルや制度の制約を破壊するカタルシスをもたらしてくれます。
頭の悪い暴走族のリアルな思考と反応(主人公の山田辰夫の本当に単純な思考しか出来なさそうな存在感が凄い!)
独自の価値基準にいっちゃってる右翼青年団の滑稽なまでの愛国感(君が代を歌いながら登場する小林稔侍が素敵!)
―等、アナーキーな笑いのレベルまで到達しているキャラクター設定や、
当時元気一杯だった泉谷しげるが担当した爆走音楽もエネルギッシュな力を映画に注ぎ込んでいて、
予算不足やスタント&小道具美術の技量不足までも、キッチュな映像として魅力に変えてしまっています(ラストの銃器やバズーカ砲の玩具&ペラペラ感には瞠目!)。
98分の上映時間を一切だれることなく最後まで暴走する―映画の主人公と同様の“狂犬映画”で、命ある限り権力に反抗する「暴力脱獄」の主人公:ルークや、唯我独尊で全てを破壊しつくす悪のヒーロー譚として、「大菩薩峠」の机竜之介や「忘八武士道」の明日死能ら“伝説の破壊神”キャラを想起するピカレスク破壊暴走映画であります。
ねたばれ?
エンドロールの協力者名に、大学時代に通い詰めて名画を沢山観た、大洋シネサロン劇場を経営していたオフィス・ヌーベルバークの代表の名前を懐かしく見つけました(確か暴走族の役で出演もしていたと聞きました)。
詳細評価
イメージワード
- 笑える
- 楽しい
- ファンタジー
- スペクタクル
- ゴージャス
- パニック
- 不気味
- 恐怖
- 勇敢
- 絶望的
- セクシー
- かっこいい
- コミカル