ここから本文です

Love Letter (1995)

監督
岩井俊二
  • みたいムービー 861
  • みたログ 3,798

4.07 / 評価:1375件

センチメンタリズム

  • bar***** さん
  • 2020年8月19日 10時52分
  • 閲覧数 1047
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

Love letter。

自分の中ではあまり響かなかったかなという映画。

驚きとか、胸に響くセンチメンタリズムとか、そういうのはなかったかな。

その代わり、ずっと綺麗な時間が続いて行くような穏やかさというか、優しい静かな雰囲気というのはあったかなという印象。

だから「好きな人は好き」だと思います。

あと、ちょっと分かりづらさはありますね。ヒロイン2人を中山美穂さんが演じ分けているんですけど、結構似ているので、ぱっと見てどちらがどちら、っていうのが分からないです。髪型が同じなので、喋り方だけで判断しなくちゃいけない。だから喋り始めるまで「これどっち?」となる。

それと、ラストのすっきりとしない感じでしょうか。ヒロインの一人の「渡辺博子」が初めに登場しているので、そちらに主人公としての視点を合わせていくのは自然だと思うんですが、ラストのシーンを見ると、主人公はひょっとすると「藤井樹(女)」だったのかな? と思うんです。

もしそうじゃなかったとしたら、監督はシーンごとの効果を十分に解釈して利用することができない人だということになるし、もし「藤井樹(女)」が主人公という解釈でいいなら、それは視聴者の情報量を全くコントロールできていないということになります。

なので、技術的に低い作品だと思います。

岩井監督って、叙情的な「しんみり」とした雰囲気を出すのは得意でも、何か内容を伝えることはすごく苦手だという印象があります。

彼の伝えたいことって、ふんわり漂うセンチメンタリズムだという感じがあるんですよね。でもそれって「内容」ではなくて、ただの情感なんですよね。

今作も、いったい何があったのかというと、綺麗な景色、美しいしんみりとした空気、静かな時間の流れといったものだけだったと思います。

もちろん登場人物の葛藤とか、失われた人に対する思いとか、そういうのはあったと思います。でもそれがテーマになっているわけじゃなくて、それは単なるディテールなんです。作品の根幹ではなくて、単純な構成要素。骨ではなくて肉なんです。いや肉というより皮。中心には何があるの? っていうことなんです。

自分は中心には「センチメンタリズム」があると思いますが、非常に弱々しいものでしかなくて、テーマと呼べるレベルのものではない、ただぱっと浮かんで消えてしまう情感のようなものでしかないと思います。

それでいいだろ、感動している人はいるんだから、という人には、「もちろんオッケーだよ」と答えますが、作品の完成度としてはやはり低いと言わざるを得ないです。ただそれで感動する人はいるし(共感性)、単純にシーンの色調が好きとか、懐かしい感じがするとか、それで作品が好きになるっていうのも普通にある。

この監督の叙情的な雰囲気は、なかなか他の映画には見られないので、それを目当てに楽しむのはいいかもしれません。

ただこれは価値観の問題になるかもしれないんですけど、自分は「雰囲気」とか「綺麗さ」とかにはあまり価値を置いていなくって(それは実は、作ろうと思えば普通の人でも作れるからなんです)、もっと完成させるのが難しい「伝えたい内容」とか「鮮烈なオリジナリティ」とかに価値を置いています。それが映画文化というものを作っていくと思うからです。『Love letter』のような作品は、実は探せば結構あるし、再生産しようと思っても簡単なんです。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ