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新諸国物語 笛吹童子 第一部 どくろの旗

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3.0

年寄りのための子ども映画、懐かしい。

 これこそが、私の映画初体験だった。小学生だった。貧しい我が家にもラジオが入った時これをやっていた。テーマ曲を一緒に歌い、家族4人でこれを聞くのが日課だった。ラジオのドラマだったのが、映画になった。映画など贅沢の極みだったはずだが、不思議なことに両親はこの映画を見せてくれた。嬉しくてたまらなかった。その映画が、今はレンタルDVDで、我が家の茶の間で見られる。  かれこれ60年近く前(つまり昔)の映画だ。どこからどう見ても“子どもだまし”でしかない。ストーリーも、お芝居演技も、音も・画面も、今の子どもでもそっぽを向くだろう。  妖術使いが出て来る。今だったら、スーパーマンやウルトラマン、アンパンマンに至るまで、特撮・CG・アニメの高度な技術であか抜けしている。我らの『童子』では、彼らの○○マンには太刀打ちできない。  だがこれは、年寄りの年寄による年寄のための子ども映画だ。年寄りがかつての童心に帰るための映画だ。萩丸・菊丸が出て来る。霧の小次郎や赤柿玄蕃が出て来る。しゃれこうべが出て来るし妖術が出て来る。沸々と記憶が甦るではないか。東千代之介、中村錦之助、月形龍之介、大友柳太朗、高千穂ひづる……、おお懐かしや、懐かしや。そして、『笛吹童子』の歌。なんと、歌詞を覚えているではないか、一緒に歌えるではないか。衰えたりとはいえ、まだまだ童心は健在だった。  今も私は趣味でリコーダーを吹いている。ひょっとしたら、私の趣味は『笛吹童子』が動機だったかもしれない(などとも思う)。私の場合はこれから先も、“笛吹老人”を気取って暮らすことになりそうだ。

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