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大菩薩峠 (1966)

監督
岡本喜八
  • みたいムービー 8
  • みたログ 62

3.86 / 評価:21件

斬って斬って斬りまくって…

  • bakeneko さん
  • 2015年12月18日 11時15分
  • 閲覧数 706
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

主な映画化だけでも5回映像化された、中里介山の同名長編時代小説(1913年~1941年に渡って、都新聞・毎日新聞・読売新聞などに連載された41巻で絶筆の未完の一大巨編)の岡本喜八による映画化作品で、他の映画化シリーズが2~3部作に分けて膨大&散漫な原作を網羅しようとしているのに対して、原作の初めの部分に焦点を絞って120分に纏め上げています。

日本文学史上屈指のピカレスクヒーロー:机竜之助―相手を誘い込んで斬る「音無しの構え」という邪剣を使う虚無剣客(趣味は辻斬り&強姦)―は、大河内伝次郎、片岡千恵蔵、市川雷蔵ら錚々たるカリスマ俳優によって演じられていて、それぞれが虚無的なキャラクターを頑張って造形しています。
本作の机竜之介を演じた:仲代達矢も“人を斬る以外は無感覚な虚無的怪物”を創り上げていて、「ノーカントリー」のアントン・シガー(演:ハビエル・バルデム)や「続・夕陽のガンマン」のハゲタカ(演:リー・ヴァン・クリーフ)、「忘八武士道」の明日死能(演:丹波哲郎)様な“歩く災難”を現出させています。

大菩薩峠での“巡礼への行きずり辻斬り”から始まる長大な流転物語で―故郷でライバルの武術師範を殺害し、妻を奪うという凶事を起こして出奔した主人公を、仇とする弟が追いかける筋立てを主軸にして、幕末の不穏な世相&新撰組が絡んでくる展開となっていて、芹沢鴨や近藤勇といった実在の人物も重要な役回りとなって主人公達に絡んでいきます。
また、ライバルの妻である:お浜:新玉三千代も重要なキャラクターで、“単なる犠牲者ではなくて、もしかしたら一連の凶事の原因であったと”いう解釈も出来る運命劇となっていて、市川雷蔵版での中村玉緒と同様に“女という災厄”の恐さも見せています。

原作が未完なので、それぞれの映画化版でいろいろな決着を考えていますが、本作では敢えて原作の持つ“未完成感”を生かした作劇となっていて、ミヒャエル・ハネケの「カフカの城」と同様の中途で切れている作品の味わいを残しています。

“存在そのものが災難”である死の化身=主人公が幕末の日本を彷徨する―群像運命劇ですが、男女の心理勝負、史実を盛り込んだ展開、殺気漲る殺陣など、緊張感に貫かれた娯楽作となっていて、観客それぞれが脳内で結末を補完する映画であります。

ねたばれ?
1、 長大な原作の大筋&どうしても決着を観たい方は、内田吐夢&千恵蔵版が最適であります。
2、 しかし丈夫な刀だなあ~(一体何人斬ったのかな?)

詳細評価

物語
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