レビュー一覧に戻る
キャプテンウルトラ

tok********

3.0

和製スペオペのノスタルジックな世界

 『21世紀後半、人類はすでに宇宙開拓時代を迎えたが、人々を襲う未知の危険は多かった…』というSF的なナレーションで始まる「キャプテンウルトラ」。昭和42年に東映で制作された本作は、特撮テレビ作品としては珍しいスペースオペラ(宇宙活劇)である。また、TBSのウルトラシリーズ第3弾であるため、ライダーシリーズで有名な東映が?ウルトラ?のタイトルをつけているところも面白い。  さて、昭和40年代はテレビ文化が本格化した時代でもある。カラー、大型化などハード面が充実する一方で、制作サイドには質の高い番組の供給が求められていた。そんな折、TBSから東映に超人気番組「ウルトラマン」の後番組制作の依頼があった。この時期、TBSが平均視聴率40%という怪物番組「ウルトラマン」を終了させたのは制作が放映に完全に間にあわなくなったためである。TBSは昭和42年10月から円谷プロ制作で「ウルトラ警備隊」(ウルトラセブンの原案)の放映を決定しており、「ウルトラマン」終了後半年間の番組制作を依頼したのだ。  しかし、当時の東映はテレビ業界での認知度は今ひとつ。そのため、局サイドでは「質の高い特撮ドラマをカラーで制作できるのか」など不安の声もあったが、「スパイキャッチャーJ3」(昭和40年、NET=現、テレビ朝日で放映。日本に3台しかなかったアメ車、コルベット・スティングレイが空を飛ぶ描写が最大の見せ場。特撮による表現を錯覚した子供達がロケ現場で本当に飛ぶのを待っていた話は有名)等の実績が評価され、制作へのゴーサインが出た。  こうして放映が始まった「キャプテンウルトラ」は前述の通り日本では珍しいスペースオペラだった。企画の段階から海外のSF小説が参考にされ、中でもスペースオペラの古典的名作「キャプテン・フューチャー」(エドモント・ハミルトン原作。東映動画制作のアニメ版はNHKで昭和53年放映。諸般の事情があり現在、再放送もビデオ化もできないらしい。残念)はその原型と言える。SF色が強調された本作は、未来の宇宙が舞台だけにオールセットで撮影され、異世界を表現するセット美術などにも工夫が凝らされた。セット全体の色調は「スターウォーズ」などに代表される漆黒の宇宙と違い、青く明るい宇宙空間が印象的だ。また、キャラクター名等はSFドラマにマッチした硬質なイメージを与えるようドイツ語を多用している。  一方、撮影的な部分に目を移すと、特撮シーンで評価したい一番のポイントに主役メカシュピーゲル号の分離、合体のアイデアとその描写が挙げられる。この撮影には1週間が費やされたらしい。(分離合体で有名なのはウルトラホーク1号、もちろん本作が制作は先)  以上の特色を持つ「キャプテンウルトラ」は平均視聴率25%を維持し、24話で完結する。平均視聴率こそ前シリーズの偉大な巨人に歯がたたなかったものの、巨大ヒーローものとは一味違ったその作品性は第1次怪獣ブームの中でも名作と呼べる。

閲覧数391