怪談累が渕
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(3件)


  • cyborg_she_loves

    5.0

    日本の夏には怪談映画

    中川信夫監督の、というより、この時代の日本の怪談映画は総じてですが、やっぱりいいですね。作品全体に気品がある。  そういう格調高い映像とともに描かれるから、これは、ただ単に「ぎゃー」と叫んで逃げ出したくなるような種類の「怖い」物語じゃなくて、別に取り乱したりはしないんだけど映画館から出てきたらなんか現実が今までとちがった色に見えるっていうか、なんか体の中のどこかにうすら寒さが後々まで残るっていうか、そういう「不気味な」感覚の映画です。  こういう映画、ほんとに最近なくなりましたね。  ただ単にグロテスクな映像で目先の感覚ばかり刺激されることを求めて、本物の不気味さを知らない観客が増えたのでしょう。  この時代の日本の怪談映画は、ここ以外の世界のどの国のどの時代にもない独自の世界をもっていると思います。  この映画にも幽霊は出てくることはきますが、この映画で本当に怖いのは幽霊そのものじゃありませんね。  このお累(若杉嘉津子さん)の怨念が、怖いです。「私を捨てないでおくれ、どこへも行かないでおくれ」といって新吉ににじり寄ってくるシーンなんか、まだお累さんは生きてるわけですけど、怖いです。  怨念の固まりになった女っていうのは、そんじょそこらの幽霊よりよっぽど怖いですねー笑。  醜いから、グロテスクだから怖いんじゃない。上述のシーンではお累は醜く変形した顔の左半分は隠しています。だからこそ怖い。美人だからこそ怖い。そういう怖さです。  それから、このラストの悲劇は、親の因果が子に報いたことの結末なわけです。新吉自身は善良で気のいい男なのに、親が犯した罪に対する怨念がずっと続いているせいであんな無残なことになるというのは、じっくり考えてみればこんなに怖いことはないです。だって、自分の力でこの怨念を回避する手立てがないんだから。  こういう因縁話っていうのも、日本人独特のジャンルですね。すべてにおいて自己責任主義の欧米人には、ナンセンスに感じられるだけで、ちっとも怖いとは感じられないでしょう。  腕や首が飛んだり血がドバドバ出たりする映画を何度も見たいとは思いませんが、この映画は夏になるたびにまた見たくなる大好きな映画です。

  • ********

    5.0

    いたるところに幽霊が

    1957年。中川信夫監督。円朝の落語であまりに有名な「真景累が渕」を映画化。日本の怪談映画の第一人者といわれる監督初の怪談。金を貸したのに返されずに殺される父親の恨みと、恋人に裏切られる娘の恨み。恨む方も恨まれる方も遺伝するという、馬琴の小説のような因果話です。 もちろん、金を返さなかったり恋人を裏切ったりするほうが悪いのですが、「私の金を返せ」「私の夫を返せ」と「私のもの」に執着する側の恐ろしさがすごいです。執着するから怨霊にもなる。定石に従って、最初の死体(父親)が捨てられた「累が渕」が最後の舞台になるのですが、水の中から浮かび上がってくる怨霊となった父親が怖い。「地獄の黙示録」なんてものじゃありません。 日本映画の当時のレベルを証だてるように、開かれた障子、向こう側が見えるすだれや格子の使いかたがすばらしく、カメラの動きだけで感嘆できます。いたるところに怨霊が見えてしまうことと密室がない日本家屋の構造。。。日本映画と幽霊の親密な関係。

  • osu********

    4.0

    お盆は怪談で・・・

    暑いこの時期は昨年に続き、 怪談映画を見ましょう。 「累が渕」とありますが、 DVDタイトルと本編冒頭は「かさねが渕」とひらがな表記です。 でも当時のポスターは「累が渕」となってます。 どちらが正しいのか?これも怪談だ? で、本作は新東宝、中川信夫監督の怪談映画第1作目とのこと。 この作品の後の「東海道四谷怪談」と比べると やはり劣ってしまう感じですが、 興味深く拝見しました。 2007年の「怪談」(中田秀夫監督版)を観てたので、 同じ原作ということで、比較する楽しみがあります。 こちら1957年版は、主人公らの親の因縁話から描かれており、 いかにも親の因果が子に報い・・・ という部分が強調された作品になってます。 (脚本がなんと川内康範先生) そして、モテモテの主人公新三の女性遍歴は 2007年版では、黒木瞳から井上真央、麻生久美子に木村多江 瀬戸朝香と続きましたが、 この作品では、 黒木瞳と井上真央に相当する2名で終わり。 そして、新版の尾上菊之介は自分の意思で悪事を重ねる 感じでしたが、 この57年版では、主人公の新三は優柔不断であり、 因果話とは別に悪事を企む浪人が登場する点も違います。 この浪人をまだ若い丹波哲郎大先生が演じてるところに 価値があります。 結局、親子の因縁話もこの悪の根源みたい人物によって、 吹き飛んでしまいます。 この浪人を倒すことが幽霊の目的となってしまいます。 よくも悪くも、さすが丹波先生としか言いようがありません。 あ、新版ばかり女優名を挙げましたが、 こちらも書いておかないと。 新版の黒木瞳の役に相当する三味線の師匠に 若杉嘉津子さん。 ご存知、「東海道四谷怪談」のお岩さん役の方。 色っぽさは新版以上。 幽霊になった後のメイクもグロいです。 そして、新版の井上真央に相当する お久には、北沢典子さん。 この頃の新東宝作品にはよく出てます。 お岩さんの妹、お袖さんも彼女でした。 小柄で、声もお顔も可愛らしい・・・ 今の若い方たちが観てもそう思うはずです。 ちなみに尾上菊之介が演じた主人公?に相当する 新三役の人は和田孝という人で、私はよく知りません。 でも気弱な2枚目ということで適役です。 ということで、 同じ題材の作品を新旧比較する見方をしてまいりました。 それも映画の楽しみ方だと思います。 ちなみに「累が渕」は大映版(1960年と1970年)もあり、 それらも観ていればもっと興味深い比較ができたでしょう。 それにしても怪談というのは、 因果応報、悪いことをしたら 報いが来ますよという 教訓が根本にあると思います。 恐いというより哀れで悲しい物語・・・ むやみやたらに殺されたり 呪われたりする(特に最近の)ホラーとは 違うのはその辺だと思います。 子供の頃は恐くて観れなかった 怪談ものですが、今見ると恐くなくて ドラマ的な部分に惹かれてしまいます。 で、今年の怪談特集は中川信夫監督作で あと2本くらいやる予定です。 (昔ながらの納涼怪談3本立にあやかって) お楽しみにww

スタッフ・キャスト

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若杉嘉津子お累/豊志賀
和田孝深見新吉
丹波哲郎大村陣十郎
中村彰深見新左衛門
岬洋二皆川宗悦
九重京司三五郎
高田幸子お累の少女時代
川部修詩山田屋清太郎
横山運平下男勘三
石川冷重介
辻裕子貴志賀の弟子
千曲みどり貴志賀の弟子
村野英子貴志賀の弟子
村山京司駕籠屋
宮浩一駕籠屋

基本情報


タイトル
怪談累が渕

上映時間

製作国
日本

製作年度

公開日
-

ジャンル