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明治大帝と乃木将軍 (1959)

監督
小森白
  • みたいムービー 1
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4.50 / 評価:2件

乃木が殉じたのは…

  • gar***** さん
  • 2009年1月27日 13時08分
  • 閲覧数 595
  • 役立ち度 14
    • 総合評価
    • ★★★★★

日露戦争と明治天皇を描く東宝のシリーズ第三作。今度は、乃木希典に焦点を当てています。本当は、第二作の『天皇・皇后と日清戦争』から見てみようかと考えましたが、DVDが手に入らずやむなくこちらから鑑賞。
明治天皇については、第一作の『明治天皇と日露大戦争』でも描かれていますが、今第一作では描けなった、旅順の攻防戦がメインで天皇の方はやや脇に下がっている感があります。もちろん、日本側から見描かれているため、国際社会のパワーゲームという側面を持つ日露戦争という視点は欠落していますし、同時に主戦場となった朝鮮や中国側の様子も描かれていません。しかし、乃木を通じて戦争に参加した、日本国民の姿を垣間見させてくれる作品になっています。
乃木希典という人物には、様々な側面があります。戦争の英雄であると同時に無理な作戦で、多くの兵の犠牲の上に名声を築いた「血も涙もない」(劇中登場する人力車の車夫の言葉)司令官でもあります。明治天皇の死に際しての殉死(この言葉はあまり好きではありませんが、他に適切な表現がない)によって、天皇に身も心も捧げつくした忠臣の鑑というものもあります。しかし、むしろ私は大切な二人の息子を失った父親としての乃木が強く印象に残ります。筋金入りの軍人である乃木にとって息子二人は、息子であると同時に同じ軍人です。だからこそ、長男が戦死した時に乃木の周囲の人々がもう一人の息子を前線から遠ざけようとしても、特別扱いを許しません。しかし、息子たちが戻ってくることはありませんでした…劇中、日本に凱旋した乃木が自宅で、息子二人の遺骨が飾られた仏壇に、妻と手を合わせるシーンがあります。このシーンに、私は乃木の苦悩と悲しみを感じました。乃木の家の前では、戦勝に沸く人々が「万歳! 万歳!」と叫んでいます。この喜びと悲しみの交錯するシーンからは、戦勝の背後で家族を失って泣く者や傷ついて苦しむ者が浮かんできます。あまりにつらいコントラストが際立つシーンでした。
「忠臣」乃木が殉じたのは、天皇だけではなく自分が死なせた多くの人々だったのでは?と思いました。
<乃木と昭和天皇>
劇中学習院の院長として、乃木が任命されるシーンで明治天皇が「来年は孫の皇子たちが入学する」というシーンがあります。この皇子たちこそ、後の昭和天皇と二人の弟宮である後の秩父、高松の両親王です。河原敏明著『昭和天皇とその時代』によると、幼い昭和天皇にとって、乃木は師であると同時に祖父のような存在だったようです。しかし、そんな昭和天皇11歳の時に乃木は殉死。この死は、幼い昭和天皇の心に、強い衝撃を与えたようです。

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