乃木坂の由来でもある
- やんすけ さん
- 2020年8月25日 8時59分
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自分が小学生くらいの時にテレビ放映されたのを観て、強烈に印象に残っていた一本。劇場公開40周年という事でリバイバル上映をスクリーンで観れました。やっぱ映画は映画館だね。コロナが収束して、満席の劇場で笑顔で映画を気兼ねなく観れる日が早く戻ってくる事を。
で、まず改めて作品を観てみると日露戦争の事実からは大分脚色をされているのが分かります。そもそも二百三高地の奪取・占領は戦略的にはほぼ意味がなかったらしいですし、クライマックスの明治天皇と乃木大将のシーンもかなり演出が施されている模様。ここら辺はネットで調べてみるといろいろ検証サイトがあるので、映画鑑賞後に読んでみると面白いです。ただ「日本が勝ったぜ!」という戦争映画ではなくて、極限状態の戦地の悲惨さや残された家族の苦悩を描きつつも、興行作品としてのドラマ部分での脚色や大衆受けしやすい結末のバランスなど…制作陣の葛藤が浮かびます。
ただ単純に映画作品として観れば…やはり日本映画史に残る傑作であり、また記憶にも残る名作だと思います。突撃&戦死をこれでもかと繰り返す消耗戦の戦闘シーンも強烈(今みたいにCGで描けないからね)なのですが、やっぱ俳優たちの演技が最大の見せ場。実は主人公・乃木大将(仲代達矢)は劇中ではあまり活躍してないんですよね。総攻撃に失敗しているし、激しい消耗戦に兵士たち(実子を含む)が戦死していくのをただただ耐えていただけ。反転攻勢になったのは冷徹な指揮官・児玉源太郎(丹波哲郎)が参戦してからなので児玉の有能っぷりが浮かぶんですが、それでも観客のココロを掴むのはひたすら耐え忍ぶ乃木大将の姿。ここは仲代達矢の「動」ではない「静」の演技が炸裂しており、眼球一つ動かさずに震える表情だけで地獄に灼かれるような苦悩を観客に伝えます。また日本に残されて大衆の標的となった妻の野際陽子も印象深いですね。ほんの数シーンだけで全く動かないのですが、人間が壊れる様子を怪演してました。他にも実力派の俳優がズラリと並ぶ豪華キャスティングは必見です。
ちなみに現在ではアイドルのグループ名で有名な乃木坂ですが、その由来の元となっている人物の作品としてみても面白いですね。今は本当に平和なんだなぁ…とつくづく思います。
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