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野球狂の詩 (1977)

監督
加藤彰
  • みたいムービー 7
  • みたログ 67

2.72 / 評価:29件

小池鉄五郎と正統美人木之内さんの勇姿よ…

  • 真木森 さん
  • 2011年6月18日 10時09分
  • 閲覧数 1498
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

この映画の存在を知ったのは随分前のことですね。レンタルビデオ店の片隅にひっそり置かれていて、無茶メイクの岩田鉄五郎=小池朝雄の造形に口あんぐり。木之内みどりが出ているのも全く意識してなくて、『愛と誠』に早乙女愛が主演したのと同じく、本作も水原ゆう紀が主演していたのだと思いこんでいました。しかし運命というものは面白くできていますね。たまたま目にしたTVドラマ『刑事犬カール』に出演している木之内みどりの清楚な美しさに衝撃を受け、その彼女が残した唯一の映画が本作だと認識し、先日ついにスカパーで初視聴なったのです。
そうしたら案の定口あんぐりです。映画では各キャラを明らかにしていませんが、漫画をずっと愛読していた身になってみれば「ああ、いるいる」と無名役者が東京メッツの濃い面々を演じます。なよなよしてとてもスラッガーに見えない国立玉一郎。いつも喧嘩して顔に飯をなすりつけたり頭から牛乳をかけたりしているコンビは唐部と丘でしょうね。この時カツラを大事そうに持っているのはきっと千藤光。虎谷は原作そのままにイボ痔にに苦しみ(それにしても実写であそこまで生々しくやるとは…)、ジンクスは実力通り2軍暮らしで、水原の入浴中にずかずか入ってきた後違和感紛々で倒れるのは日の本盛。岩田鉄五郎は『よれよれ18番』であったとおり義理の息子の岩田清志に引退を勧められるし、敵側アパッチ軍には力道玄馬がそこにいるかのような丹古母鬼馬二さんが名演。『ドカベン』で散々山田太郎と比定してもらったお礼か、現役バリバリの頃の野村さんの姿も見られます。でもやっぱり仰天したのは小池朝雄さんの岩田鉄五郎役です。本当に「にょほほ~」と呟いて投球し、極めて顔色も悪く「すでに癌が進行しつつあったのか」とも思ったのですが何のことはない、メイクがいい加減なせいなだけでした。しかし眼光は極めて鋭い。この小池=鉄五郎がとにかく目茶苦茶するのですが、原作通りそこに温かみ・気骨が見え隠れして、これは『ドカベン』実写版の岩鬼役、高品正弘さんに匹敵しますね。そもそも小池さんは『刑事コロンボ』のイメージが強すぎますが、出演した映画の役柄はみんなとんでもないものばかりで、生前に「僕は結局の所狂った役ばかりやりたくなるんだなあ」と語っていたとか。←格好イイ!
さあ、それでいよいよ木之内みどりです。これが本当に可憐で、芸能人によくありがちな「我の強さ」「目立ちたがり・前に出たがり」なエグみが全然ありません。むしろはかなげで消えてなくなりそうな存在感。もしかしたら原作より木之内さんの方がより「水原勇気していた」かもしれません。女性が野球をやるなんて、男の世界である寮生活に飛び込んでくるなんて、という中で運命に揺すぶられ懸命に向き合おうとしているその姿が役柄を超えて説得力を持つのです。確かに北海道出身のアイドルは大成しないと言われていて、その分析の通り、彼女は映画ではこの一作を限りにして去りました。歌手としてもプチヒットにとどまり、開始したばかりの「ザ・ベストテン」でも10位以内にランクインしませんでした。程なくして後藤次利との恋のアバンチュール、齢21にしての電撃結婚へ。芸能界なんてものよりも、自分の中に見つけた生き方へ迷いなく投じていく、そのあっさりとしていてかつ果断な行動力。素敵ですね。
 肝心の映画自体のことが後回しになりました。まあ、これは当時の水島新司人気を当て込んで志しなく制作したというのが見え見えの杜撰な全体像です。原作は武藤が裏の主人公で、「ドリームボールを打つのはわいや!」と血のにじむような特訓に励み、水原と対決するというのが骨子です。ところが本編はそんなもの何もなくオープン戦の所でぶっつり「終」。なんでそこで終わるの?って疑問だらけで、続編があるのならそれはそれで納得ですが、不入りだったのかそんなもの何もなくまたまた口あんぐりのまま映画が終わります。せめて水原編前半の山場、野球協定を通すか否かの阪神戦くらいに絞って映画を作って欲しかった。これじゃあ武藤が単にトレードに出されたその他大勢キャラです。この時点で、現場が奮闘して物語を紡いだ一方で、制作サイドが全く愛情を持っていなかったことが如実に分かるのです。でも今さらそんなことを言っても仕方ないか。小池鉄五郎の熱さと、同郷のアイドル本物の美人だった木之内さんに敬意を表し、★は甘めの4つです。
〈追伸〉高品正弘さんは「大鉄人17」にて『ドカベン』の岩鬼そのままのキャラで出演しました。役名岩山鉄五郎。んん?岩田鉄五…? 鉄五郎と岩鬼は実によく似た人物造形ですし、水島新司の漫画の登場人物では藤村甲子園の線を引き継ぐ男気キャラ。暗にこれは「あの岩鬼が出ていますよ」というメッセージだったのでは。役名「岩鬼正美」ではプライオリティの問題が発生しますからね。

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