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スワロウテイル

スワロウテイル

SWALLOWTAIL BUTTERFLY

R15+149

pai********

4.0

ネタバレ圧倒的な美術と拝金主義への警告

本作の魅力は,香港にかつてあった九龍城砦(クーロン城)のようなスラム的雰囲気を基調とした無国籍な世界観と美術です。 また,CHARAの歌はどれも魅力的で本作に魅力を加えております。 ただ,音楽では,個人的には,ヤクザの幹部が強姦を働こうとする場面でうまく使われているMy Little LoverのYES~free flower~(作中ではオルナシのフリフラと言われています)が一番印象的でした。 ストーリーは大雑把に言えば,お金を求めて外国から日本に来たグリコたちがひょんなことから大金を手に入れて,あれよあれよという間に夢だったメジャーデビューを果たしたものの,大金を手に入れる方法がまずかったため,最終的には大切な人を失ってしまうというものです。 映像と音楽が強いためかすんでいますが,物語的には拝金主義への批判が込められた映画だと思います。 初っ端でアゲハの母が亡くなりますが,その原因もクスリを誰彼構わず売り歩いて荒稼ぎしていたせいですし,商売(売春)のためにアゲハをトイレに閉じ込めていたことは,アゲハの精神に暗い影を落としています。 幸せはお金で買えると錯覚している人も多いけど,結局お金なんていくらあっても幸せは買えません。これはお金をある程度稼いで初めて気付くものかもしれません。 戦争に負けて自尊心をくじかれた日本人は,GHQによって伝統的生活や価値観までことごとく破壊され,さらに地域社会や親族付き合いも薄くなり,心の拠り所がなくなってしまいました。そのため,戦後の日本人はお金を稼ぐことしか自分を支えるものがなくなってしまい,拝金主義に年々傾いていってしまっています。 この映画は,お金を求めて日本にやって来た主人公たちが,最後お金を燃やすシーンで終わります。 生活する上でお金は当然必要ですが,本作の登場人物のように無茶な稼ぎ方はしてはいけないし,ましてや大切な家族・友人を犠牲にしてまでお金など稼ぐものではないということを伝えてくれる作品です(とはいえ,そのメッセージはあまり前面には出てきておらず,世界観と美術,音楽が印象的な作品でした)。

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