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ぼくらの七日間戦争 (1988)

監督
菅原比呂志
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3.48 / 評価:324件

大人に反抗児の気持ちを思い出させる

  • ter***** さん
  • 2013年12月29日 15時04分
  • 閲覧数 1657
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

「大人」の管理側にいる自分を、「反抗」する子供だった頃の視点で考え直す機会になった。エンターテイメントとしてはもちろん、主人公の中学1年2組に感情移入する。他方、悪役に徹した教師は別として、親や機動隊員は「仕事で頑張っているだけなのに、立場だけでやり込められるのは気の毒だなあ」と同情もしてしまう。

1969年の日大全共闘のパロディーだが、原作(1985年)や映画(1988年)の公開時、この団塊の世代はアラフォーだ。つまり、作品に登場する教師・親・機動隊員は、1960年代の学生運動世代の20年後なのだ。さぞ身につまされるだろう。しかも時代はバブル期。高度成長期の名残で、中堅以上は無駄に責任感の強いモーレツサラリーマンだ。生徒・子供・反攻者を弾圧することも、相手に恨みがなくても徹底的にやる。団塊の世代がこの映画を見ると身につまされることだろう。

私自身は、中学1年2組(主人公)と教師・親(団塊の世代)の中間の世代に属すが、双方の状況がよく分かる。全共闘以降、中学・高校ではで管理教育が強化された。たとえば愛知県での校則、風紀・服装・持物等の細かさ・厳しさは全国的に有名だった。兵庫では1990年には神戸高塚高校校門圧死事件が起きた。始業時間に教員がハンドマイクで遅刻を怒鳴りつけながら鉄製の門扉を閉め、滑り込もうとした女子生徒を頭蓋骨骨折で殺したのだ。映画はそれに先立つものだが、朝礼の描写は決して大げさではない。

私は中学時代は校則に疑問を持つことのない学級委員長だったが、校則のない高校に入ってはじめて、管理教育の異常さに気づいた。雑誌『考える高校生』の管理教育特集を読んでいたことも大きい。いまも高文研として現存するこの革新派出版社は、かつて高校生文化研究会という社名で、教育問題や戦後民主主義を論じ、ませた高校生の憧れだった。厳しい校則で生徒を束縛する管理教育は、大きなテーマだった。

私の高校の自由に不満はなかったが、不正を批判したり正義を主張したいとは思いついた。ただ、何をすれば良いのか、方法が分からない。そこで反体制なら共産主義だろうと考え、代々木の共産党本部にでかけ、『赤旗手帳』を買ってきて、生徒手帳の代わりに使い始めた。視野が狭い子供の方が、少々の勘違いはあっても、思いがけない行動力を発揮できると思う。

この映画は、ご都合主義にアトラクションをつなげた娯楽映画ではある。が、見る者に中高時代の思い出語りをさせてしまう力がある。大人になると、組織のための配慮は避けられないし、必ずしも保身だけでなく「君たちのためだ」という大義もある。しかし、大人に押さえつけられた悔しさと反抗の気持ちを思い出すと、自分自身が抑圧的・責任回避的な大人になっていないか、反省させられる。自分は、宮沢りえの若く純真な眼の前で恥ずかしくないか。

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