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その男、凶暴につき (1989)

監督
北野武
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3.93 / 評価:580件

☆静寂と凶暴の見事な狂演☆

この頃の邦画は、
既存の邦画の価値観を打破して、新しい潮流を模索していた時期。
有名人の監督作の乱発も、その一つ。

有名人の監督作の乱発は、
安易で粗悪な邦画の乱発を招きましたが、
安易な作品は、見事に淘汰し、忘れ去られ、
結局は、才能ある監督だけが、生き残った。
そして、北野 武は、今でも、観客を逆撫でする意欲的な映画の創作を続けている。

この映画に関し、ウィキ等で調べてみると、
元々は、故深作欣二が監督する予定だったとか。
しかし、スケジュールの都合で、監督を降板し、
プロデューサーが、シャレ(なのだろう)で、
北野 武に監督をやらせてみようと思ったらしい・・・。

しかし、実際の映画は、今までにない邦画のタッチで、注目を浴び、
北野 武の、意外な才能ぶりを見せ、多方面への活躍のきっかけになりました。

北野 武のスタンスは、ブラックユーモア(昔、はやっていた毒ガスギャグ)。
しかし、当時の北野 武(ビートたけし)の毒舌のイメージとは、
かけ離れた、シュールで、叙情的で、繊細さは想像できなかったであろう。

基本的なスタイルはバイオレンス映画。
しかし、ドライであり、粗暴であり、叙情的であり、繊細。
これは、当時の、邦画にはなかったこと。
確かに、この映画がもたらした邦画の影響は大きい。

ある事件で、主人公である、
我妻諒介(ビートたけし)が、宿敵の殺し屋(白流)と、巡り合わせ、
互いに、心の奥に秘めた、凶暴性を引き出し、対決する。
野望を持っている訳ではない、正義とかの大義名分や使命感がある訳でもない。
ただ、目の前に立ちはだかる、嫌な奴を倒したいだけ。それだけ。

役者の人選も見事。
我妻諒介と対峙する殺し屋を演じた、
白竜の不気味な存在感と演技は、今見ても怖い。
毒のある存在には、対峙する毒を用意し、
その相乗効果は計り知れない

時にはシュールさを出し、
時には、長回し撮影で、カットすべき部分を敢えて見せ、
人物、空気感を見せ、そして、余韻を感じさせ、
時には、凶暴性、野蛮性をむき出し、
ラストはやはり、ブラックで終わる。
静と動を使い分け、北野 武の美学を見せる。
それを楽しむ映画である。

お恥ずかしい話。
実は、この映画は、先日、初めて観たばかり。
最近、『アウトレイジ』を観た後だから、古さもあり、洗練さなんてない。
むしろ、荒削りで、手探り感も感じる。
しかし、この荒削り感が、今となっては、いい味を出しており、
野蛮性、凶暴性の強烈なメッセージは存在感を示す。

静寂と凶暴の見事な狂演というべき今作。
北野 武の才能の凄さ、深さを初めて知るにはお薦めの作品です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
  • 切ない
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