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その男、凶暴につき (1989)

監督
北野武
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3.93 / 評価:580件

善と悪は背中合わせの紙一重

  • しんまん さん
  • 2013年3月6日 10時32分
  • 閲覧数 2146
  • 役立ち度 22
    • 総合評価
    • ★★★★★

私は「北野武」と「ビートたけし」が大好きである。
1980年代にお笑いを一世風靡した「オレたちひょうきん族」や
「ザ・マンザイ」、これらを知る人で
彼の事が嫌いな人はいないんではないだろうか?

また北野監督作品の魅力と云えば独特の間と
ヒューマン描写やバイオレンス描写、
それと監督自身が出演している事ではないだろうか?
演技の上手い下手は別にしてホントに引き込まれるキャラである。

因みに北野監督10作品の中での最多出演一位はもちろんビートたけし。
二位は芦川誠と寺島進の9回だそうである(笑)

『その男、凶暴につき』
北野監督の初作品であり北野ワールド全開と云える作品だろう。
本作の特徴はカメラの長回し会話や沈黙の間が絶妙さである。
これはバイオレンス映画で
そのバイオレンス性を強調するには実に効果的と云える。

そして「間」を作る事により
「このシーンにはどんな意味があるのか?」
など鑑賞者にその意図を考える空間を与えるのである。

また出演者が凄い!
白竜、遠藤憲一、寺島進、小沢一義、川上泳などなど・・・
思わず「?シネか!」と突っ込みたくなる程
そうそうたるメンバーである。

この映画で一番考えさせられるのはビートたけし演じる
「我妻諒介」と云う刑事の人格である。
とにかく子供大人に拘らず殴る蹴るの暴行を働く。
これが「本気」だから、映画自体がリアルに見えてくる(怖)

しかもシーンによっては突っ込みを入れ
笑いを取りながらの殴る蹴るなのである。
それがまるでたけしが「たけし軍団」
らに突っ込みを入れている感覚でもあるのだ(笑)

そして我妻と云う男、上司の言う事を聞かないわ、後輩から金を借りるわ、
ゲーム賭博するわ、でとんでもない男なのである。

我妻には妹がいると云う事以外は家族構成は説明されない。
「一体、この男の過去に何があったのか?」そう考えさせられる。
しかし、正義感が強い事だけは確かだ。
同僚の刑事をかばったり妹想い?でやさしさや人情もある。

暴力自体は非現実的で今ではあり得ない事だが、
このあり得ない描写だからこそ鑑賞者は第三者的視線で共感してしまう。
つまりストレス発散の様なものだ。

そう!ホントにたけしは、
この映画でストレス発散してるかの如くである(笑)
そして人情味があると云う事が
我妻と云うキャラに引き付けられてしまう要因である。

また1980年代の時代背景の描写も懐かしくていい!
ファッションや髪形はもちろん、車もフェンダーミラーの時代。
ディスコ、ガールズバー?(この当時からあったんですね!)
賭博TVゲーム、何もかもが懐かしいのである。

そして映画を演出するブルースやジャズの音楽も非常にいい!
この音楽効果で我妻の心境が非常よく伝わってくるのだ。

そしてバイオレンス描写だけでなく脚本も非常にいい!
暴力とは何か?
現代に求められる「善」とは何か?悪とは何か?
「善」と「悪」とは紙一重であり、背中合わせなのだ。
誰もが両方持ち合わせているので、どちらも永遠に無くならないのだ。

この映画のラストがそれを物語っている。

ラストの「あの人」に銃弾を撃ち込む我妻の顔が忘れられない。
そして我妻の顛末も想像を絶するものだった。

「悪」は消え、また「悪」がはびこる。
時代が変わっても、それには変わりはない。
北野監督初作品にして最高の完成度と云える作品であり、
まさに後の北野作品のルーツとなる最高傑作である(満点)

詳細評価

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