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ニッポン無責任時代

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4.0

ノリと勢いの和製ミュージカル

平均(たいら ひとし)は感情移入しやすい大好きなキャラクター。 口八丁で難局を切り抜ける。無駄にケンカをしない。自分が会社のルールにとらわれていない自覚がある、だからクビになっても意に介さない(責任転嫁をしない潔さがある。)。自分が欲しいものにはどん欲。 同じにおいを持つ「幕末太陽傳」や「キャッチミーイフユーキャン」に比べれば作品としての粗さはあるが、それを補っているのはノリと勢い。平の言葉を借りれば「まぁまぁ、そんな固いことをおっしゃらないで・・」と言いつつ話を強引に進めてしまう。 女性にモテるが、自分からガツガツ行くのではなく、平が機転を利かして自己実現して行く姿を見て女性から寄っていく。平の周りにいるのはとびきりの美女というわけではなく身近にいそうな人。しかし、平は女性に紳士的(少なくとも表面上は)。 このあたりは、あこがれの女性の前ではうじうじするが相手が美女でなければ「よ、ネェチャン、子づくり手伝って上げか?え?」といじって相手を怒らせる車寅次郎とは真逆ともいえる(車寅次郎は平均のアンチテーゼとして生れたのかもしれないが、個人的には受け入れにくいキャラだ。)。 平に一番魅力を感じるのは、個人個人が大事に感じている垣根への接し方。 垣根によって対立構造が生れるとき、強引に垣根を取っ払うというのではなく平が垣根を意に介さずかけずり回っていると、垣根で対立していたもの同士が、より大きな共通価値感に包含されていく。 その意味で「もののけ姫」のアシタカを魅力的と感じたが、その原型は平均(たいらひとし)ではないかとさえ思えてくる。 劇中で唐突に歌ったり踊ったりするのは「モテキ」がヒットしたことからも、上手くやれば現代でもアリな手法。 50年代60年代テイスト満載でヒットした「ラ・ラ・ランド」を観て思ったのは、日本でもこのテイストの映画を作ってもらえないだろうか。渡辺謙あたりをキャスティングして。

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