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八月の狂詩曲(ラプソディー) (1991)

監督
黒澤明
  • みたいムービー 30
  • みたログ 750

3.15 / 評価:219件

希望は孫たちに託された

  • fg9***** さん
  • 2017年6月9日 15時10分
  • 閲覧数 2632
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

 …黒澤明監督の全作品をリタイアしてから観ようと思ったが、デビュー作の『姿三四郎』から古い順に観てみる。
 本作の前の『Aデルス・ウザーラ(1975)』『B影武者(1980)』『C乱(1985)』『D夢(1990)』でも『天国と地獄(1963)』と同じ現象が発生していた。
 いずれも既にレビュー済になっていて、レビュー出来ずだった(レビューした覚えはない…評価だけしたかも?)
 で、場違いとは知りつつも、ここで4作品の感想を書いておく。
 A『後はもう、デルスの「カピタ~ン!」という言葉が頭の中に鳴り響いてやまない傑作だった。』
 B『“滅びの美学”的なものを描きたかったのだろうが…これまでのどんな作品にも観た後に爽やかさが感じられたものだが、本作にはそれが感じられず、☆一つ割り引いた結果となった。』
 C『大ラスは、菩薩をもってしても人間の愚かさは救い難しと警告しているようで、十二分に堪能できた。』
 D『人間は自然に生かされているということを再認識させてくれる、 まさに、今見るべき映画だ。』
 『姿三四郎』から『赤ひげ』まで、ほぼ1年に1作のペースで撮り続けてきたのに、『どですかでん』から『夢』まで5たび5年のブランクが開き、漸く5年のブランクが解けての29作品目の本作(1991)だ。
 …あらすじは、ある解説の次のとおり。
 『長崎の市街地から離れた村で暮らす老女・鉦(村瀬幸子)のもとに、昔ハワイへ渡って成功を収めた兄からハワイへの招待状が届く。
 結局、鉦の代わりにその息子(井川比佐志)と娘(根岸季衣)がハワイへ出かけ、その間、4人の孫(吉岡秀隆)が鉦のもとで夏休みを過ごすことに。
 そんな日々の中、鉦の孫たちは鉦の昔話を通じて原爆がもたらした悲劇を学んでいく。
 また、ある日突然、ハワイから、鉦のおいにあたる日系アメリカ人、クラーク(リチャード・ギア)が彼女のもとを訪れることになって…。』
 リチャード・ギアが出ているなんてチットも知らなかった。
 で、クラークは、鉦の夫が原爆で亡くなったことを知って片言の日本語で「ミンナデナキマシタ」と鉦の息子と娘に言い、原爆に所縁のある場所に行きたいと言うのだった。
 で、クラークは、鉦の息子と娘に連れられて原爆の惨禍に遭った小学校に行くと、偶然にも其処に4人の孫がいるのだった。
 原爆の被害にあったひしゃげたジャングルジムは、当時の惨たらしさが偲ばれる。
 するとそこへ20数人の男女の老人たちがやってくるのだった。
 彼らは、この小学校で亡くなった子供たちのルームメイトだという。
 サングラスをしている者は眼が見えない者たちなのだろう。
 で、そんな彼らが黙々と慰霊碑を掃除したり花壇の花を入れ替えたりしているのを見て、4人の孫のうちの最年少の少年が「こわいよ……」と怯えるのだった。
 この表現は絶妙だと唸ってしまった。
 で、クラークはホテルをキャンセルして鉦の田舎家に宿泊し、鉦の手を握って「スミマセンデシタ」と謝り、鉦も「もう済んだことよ……」とばかりに優しく無言でクラークの手を握り返すのだった。
 で、長崎に原爆が落とされた8月9日がやってくる。
 村人たちが総出で追悼の意を表す。
 クラークも参列し、彼だけが黒いネクタイを締めている。
 読経が続く中、カメラは地面を一列になって歩く無数の蟻を捉える。
 その進む先には枝があって、その枝を這い昇っていくと、深紅の薔薇の大輪が咲き誇っているのだった。
 何を暗喩しているのか定かではなかったが、このシーンにもハッとさせられて唸ってしまった(鉦の胸の奥深くに潜む原爆という名の薔薇の棘???)。
 で、あくる日だったか、クラークの父(鉦の兄)が亡くなったという電報が届く。
 鉦は、13人兄弟だったかのその兄・錫二郎のことだけを忘れ去っていたが、死の悲報を聞いて錫二郎のこと想い出し、また、記憶も原爆が落ちて夫が亡くなった日に戻ってしまうのだった。
 で、突然にモクモクと黒雲が湧き出して、その狭間に巨大な金色の目玉が現れ、それを見た鉦は「ピカ(ピカドン)が来た」と震え慄くのだった
 で、翌日だったか……大嵐が襲来し、鉦は傘をさして田舎道をひた走るのだった。
 あたかもピカによって奪われた夫を取り返すがごとく、ピカのような大嵐に立ち向かうのだった
 それを孫4人と鉦の息子・娘がこけつまろびつしながら追い駆けるのだった。
 で、鉦ばあちゃんの差している傘が裏返って……一瞬無音となり……♪童はみいた~り~♪の「野ばら」の合唱が流れるエンディングは秀逸だった。
 こんな駄文を綴るよりも、ウォルシュさんのレビューの次の一文が本作の内容を的確に現わしている。
 『場面の転換で流れるドレミの音階と、 「野ばら」の合唱。
 とても印象的で、忘れられない。
 時が戻ってしまった哀しい結末に 朗らかな歌声が重なる。
 希望は孫たちに託された。』

詳細評価

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