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ガメラ3 邪神<イリス>覚醒

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒

GAMERA 3: THE AWAKENING OF IRIS/GAMERA 3: REVENGE OF IRIS

108

HIRO

4.0

もう一度、よく観て欲しい。

第一作目が1995年に公開し、その徹底的なリアル路線がマニアをも唸らせた、 「平成ガメラ三部作」。 今作はその完結編に位置付けられています。 しかしガメラによって渋谷が火の海になる、衝撃的な幕開けが象徴するかの様に、今回は最終作でありながら前2作と大きくテイストが異なります。 ガメラは以前より更に戦闘に適した進化を遂げており、そのフォルムには禍々しさまで感じる程。 そしてこれまでとは違いその攻撃に一般人が巻き込まれ、多くの死者が出てしまう様がハッキリ描写されています。 また、そのストーリーもこれまでとは異なり神秘性が重視されており、 第一作目のガメラとギャオスの戦いにより両親を亡くし、以後ガメラに対して憎悪を抱き続ける少女、綾奈(演・前田愛)がそのキーパーソンとなります。 特に後者の要素に関してはその伏線らしき描写も前作までに特に見られなかった事から、突然の作風の変化に戸惑いました。 また、相当に困難な状況であったが故に解決した際のカタルシスも魅力的だった1〜2と比較し、今回はハードかつ全体的に悲壮感が漂っています。 それ故に、2までは好きだが3は…という声も聞かれますが、 「地球の守護者」であり、ウルトラマンの様な「人類の味方」ではないガメラがたどり着く先として、 私にはこの結末が一番しっくり来ます。 他作品の怪獣とガメラの決定的な差は、 ガメラは守護、守る為に存在し戦う者であるという点です。 何かを守る行為とは必ずその為に他の何かを敵に回したり、犠牲にしなくてはならなくなります。 ガメラにとって最優先は人類ではない以上、その行動の全てが人間に益する物とは限らないのです。 しかしそんな使命を負いながらも、彼は己にできる限りで人を守ろうとします。 時にはその人からも敵として砲火を向けられ、それでも守った事による代償が己が身に傷として刻まれていく… ガメラが人類からの攻撃に対して反撃する場面は一度も無く、三部作通して彼の自己犠牲の精神は一貫して変わりません。 そしてラスト、その満身創痍の悲壮な姿で彼が立ち向かう存在は絶望的なまでに苛烈です。 それでも、天を仰ぎ気高く咆哮する勇姿を目にすると本当に勇気づけられるのです。 前2作までを観られた方は、その結末として是非ご視聴頂きたいタイトルだと思います。

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