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るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編

Keiju.Yamada

5.0

ネタバレ罪深さ、業、穢れこそが美しい

この作品の美しさとは単なる映像的、演出的なものだけではなく、人間模様にあります。 登場人物達は皆罪を背負っています。 人買い、野盗、子供に手を汚させる桂と高杉、京の恐れの象徴新撰組、姉を苦しめていることに気づかない縁、許嫁を不幸にさせた清里、その仇を愛してしまった巴、そしてピュアな少年から抜刀斎へと変貌した業の印として刻まれた頬の傷。 皆、自分の信念や理想に従い行動しているはずなのに結果として人々の幸せを奪っています。 でも人間はそうやって生きていくしかないんです。それが人の魅力なのです。 だからこそどのキャラクターにも味が出て、愛おしく、とてつもなく美しい。みんな必死で生きてるから。 その人間の業を真に理解していたのは比古清十郎、辰巳、飯塚の3人だけでした。 しかし剣心は若く、清く、真っ直ぐであるが故にそれを理解できていません。 自らの罪を自覚するたびに傷から涙のように血が流れ、苦しみます。 この作品では剣心が巴と居る時だけは傷からの流血が意図的に止まるようになっていることに気付きます。巴は剣心の狂気だけでなく罪も受け止める鞘となっていたのだと思います。 死んだ後も許嫁の残した傷の上からさらに傷を重ねることで血の涙が滴るのを防ぐ鞘の役割だけは生かしています。 それは決して剣心に罪を忘れされるためではなく、冷静に向き合わせるために一生残る傷として清里とともに夫に寄り添うことを決めた巴自身の覚悟を感じました。 この素晴らしい作品からはクリエイターの方々の狂気にも近い執念と努力を節々に感じ取ることができました。 ぜひ後の世に遺したい作品です。 ありがとうございました。

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