優れたりメイクだと思います
- cyborg_she_loves_me さん
- 2018年10月21日 11時07分
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私もテレビアニメ原作をこの上なく愛する人ですが、でも今あらためて見たら、さすがに製作年代がここまで古いと(1973年)、アニメ技術の稚拙さ、設定の荒唐無稽さが若干気になるようになってきたのも事実です。
このOVAは、原作のよさをできるだけ継承しながら、これらの欠点を93年当時で可能な範囲で改良しようとしたものと言っていいでしょう。
そしてその意図は、かなり高いレベルで成功していると私は思います。
映像や動きの滑らかさやリアリティは、格段にレベルアップしている。これなら、製作(93年)後25年たった今でも、十分に鑑賞に値する。
落雷事故でロボットが自我を持ち、ロボットを奴隷のように使役してきた人間に怒りを抱いて逆に人間を支配しようとするに至った、という原作の設定も、それなりにリアリティはありました。
しかし、環境破壊から地球を守るために作られたロボットが、その機能を正常に遂行したら、当の人間を環境への最大の脅威と判断して人間を駆逐・支配しようとし始めた、というOVAの設定は、これは今の人間への巨大な問題提起を含んでいますよね。
ヒーローもののアニメや映画は、「地球を守る」「人類を守る」という決まり文句を呪文みたいに唱えてホイホイ戦うのが定型になってますけど、そもそも今の人類に守るべき価値がはたしてあるのか。地球を守るには人類を滅ぼすのが一番有効だと言われたら、私たちは反論できる理由を持っているのか。
上月ルナを引き渡す代わりに自分だけ逃がしてくれとロボットと取引しようとする人間がいたり、キャシャーンを救世主と仰ぐ宗教が人類に蔓延していたり、しかもこの宗教には、救世主がいることだけが必要で、それが本物のキャシャーンである必要はないのだ、といって指導者が上月ルナをキャシャーンに仕立て上げようとしたり、と、人間心理の深層をえぐるような人間描写もなされているなど、ただの戦闘モノに終わらない深みも加わっています。
要するに。
原作を「超えた」とは決して言いませんが、原作をひとつの方向へ発展させた成果としては、十分に見ごたえのある作品に仕上がっていると私は思います。
あくまで原作にこだわりのある人は、不満に感じる点が多々あるかもしれません。コミックや小説を映画化すると、「原作はこんなじゃなかった」と言う人は必ずいるものです。
だけど、原作はもちろん大好き、でもこういう変化形も、それはそれで別のものとして大好き、という趣味のあり方は、あっていいでしょう。
私は大好きです。
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