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新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に

nin********

5.0

23年目の劇場公開が意味するもの

THE END OF EVANGELIONという映画はどういうものだったか。 たかが気持ち悪いだの、自慰だの、首絞めだので、たちまち逃げ出すような人達のものではなく、大いに傷つき、大きな犠牲も厭わない人たちにとっての、特別な映画だったということへの尊重と尊厳を感じるべきだと思います。 暗闇に瞬く美しい光。これが真実だと唯一言えるほんのわずかなかけがえのない感覚を映像化したもの。自死を考えた一人の人間が、たとえ幸せだとは言えなくても、それでも自分自身の人生や、この世界で生きてきたことをかけがえないものと感じた心をそのまま映し出せている。 人と人を繋ぎ、世界を維持してこれたのは、第一に利害であり、第二に諦めであり、第三は愛という名の差別と自己満足でしかない。この世界は運命に裏切られたと感じて生きている人が大多数。だから傷だらけになりながら掴んだかけがえのない愛おしさしか、その失望を超えられない。 戦争と罪悪、愛憎渦巻くこの世界の実相の中で生きながら、それでも人間であること、愚かな存在であることへの自覚と、同じ苦しみを分かつ他者への温かい憐憫の情なき者に、本当の愛情、利他愛のまごころなどあるはずもない。 こんなに傷だらけの心に満ちた映画を簡単に批判出来る人に、優しさを感じないし、監督を追い込んだ無情な人たちと何ら違いはないと感じる。 ラストシーンの碇シンジの嗚咽と涙に、「命を救われた」と言う人が大勢いることを、深く考えなくてはならない稀有な映画なのだと感じます。

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