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耳をすませば

耳をすませば

WHISPER OF THE HEART

111

つとみ

5.0

ネタバレいつか通った、この道

初めて観た時、あまりの甘酸っぱさに身悶え、顔から火が出るほど恥ずかしかった。自分の事じゃないのに!恥ずかしい!でも好き! 何回か観た今はそれほど衝撃を受けなくなったが、やはり自分の胸の中に甘酸っぱい感情がじんわり広がっていく感覚はある。 人を好きになるって、どんな感覚なんだろう?と思っていたあの頃。進路、とか言われて戸惑っていたあの頃。 思春期を経験した人なら、雫の姿に自分の若かった頃を思い出さずにはいられないだろう。 子どもでいられる、最後の夏。 冒頭、お父さんの勤め先の図書館がバーコード管理を導入する、というエピソードがある。 そこから貸し出しカードに繋がっていく話なのだが、もう一方で「変化」は本人が望まなくてもやってくる、という真理でもある。 雫自身が思っていたより、変化は怒濤のように襲いかかる。自分が通う学校を選ぶこと。人を好きになること。人に恋心を寄せられること。本を読んでも醒めた目線の自分がいること。 ただ毎日が過ぎていくように感じていた雫は、同じ年の天沢が変化の波に堂々と立ち向かう姿に衝撃を受けたんじゃないだろうか。 どうしていいかわからず、ぼーっとしていた自分に比べ、天沢はもう原石を磨き始めていたのだから。そりゃあカッコいいよな、惚れるな、と納得してしまう。 そんなベタな展開の中で、私が「耳をすませば」が最高だ!と思うのは、雫が「天沢と対等にならなきゃ!」と奮起するところだ。 自分も原石を磨くんだ、と物語を書き上げたり、お荷物になんてなりたくない!私も助けになりたいの!と天沢に伝えるシーンが最高に好きだ。 自立した自分という夢、人生に立ち向かう勇気、そういう若々しい情熱が眩しくて恥ずかしくて好きだ。 単純に10代のラブストーリーとしても爽やかで甘酸っぱくて素晴らしいが、思春期の少女の成長物語としても素晴らしい。 雫みたいな、素敵な恋はしなかったけど、なぜか自分にもあんな頃があったように思える。 もう引き返すことの出来ない人生の道の中に、きっとあんな風に歩いていた道があった、そんな気がする。

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