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耳をすませば

耳をすませば

WHISPER OF THE HEART

111

shoko

4.0

ネタバレ宮崎駿の青春物語

スタジオジブリの若手に作らせた1993年の「海がきこえる」が好きではなかった宮崎駿が、俺ならこう作ると製作した恋愛物が本作だとネットで読みました。 確かにこの作品には作画から登場人物の性格、動き、ストーリー展開、絵の描き込み具合や美しさなど、すべてに宮崎らしさがでています。 「となりのトトロ」のサツキが中学3年生になり、あの田舎の50年代の小学校が、クラスメートともども90年代の東京の中学校に移って来たかのよう。 構図や人物の表情や動きなど、意図してのことでしょうが、こうして「何をやっても宮崎駿」になるのは、やはり彼の天才性なんだろうなぁと思います。 「海がきこえる」との大きな違いは、愛を確認することなく終わった前者に比べ、こちらは結婚の約束までしてしまうこと。 中学三年生が! それもこの先10年イタリアと日本で離れ離れになるのに! この頃はズームもないしね〜。 でも振り返ってみると、中学生って子供のようでも、恋に恋するような感覚で、クラスメートや先輩を好きになったり、告白したりされたりということがはじまる時期だったから、結婚の約束をするなんて思いつくことすら早すぎるようでも、純粋な気持ちの素直な流れとして、こんなロマンチックなエンディングがあってもいいのかもしれません。 その約束が果たせるかどうかは別として。 あとから解説を読むと、この部分ばかりではなく、原作の設定はいろいろと変えられています。 宮崎駿にとって原作は原案にすぎず、それを彼の理想とする形に大胆に変えることによって、はじめてジブリ作品になるんですね。 自分が直感として信ずるものを、ぶれずに表現する。 彼はクラフトマンではなく、アーティストだから。 ちなみに、猫のバロンが登場する「猫の恩返し」という作品を昔みたのですが、あれは本作のヒロインが書いた話の映画化、という設定だったのですね。 あの頃はピンとこなかったけれど、やっと意味がわかりました。 それなら再見しなくては。 マイナス面は、主人公のお父さんの長めのセリフが方言の強い棒読みだったこと。 それから「カントリーロード」に日本語訳をつけて歌うのはストーリーとしてはよかったけれど、エンドロールにまで流れると、下手さやダサさが気になりました。すみません。 総体的には四つ星、進呈したいと思います。 PS.コロナで公開延期になっている、本作の実写版映画も気になります。

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