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蒲田行進曲 (1982)

監督
深作欣二
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4.24 / 評価:614件

松坂慶子さんだけ

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2021年8月26日 10時19分
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

この話って、物語全体を支えている背骨の部分は、ものすごく荒唐無稽だと思うんですよ。

 10mの階段落ちって、いやそりゃもちろん危険なのは間違いないけど、きちんと訓練を積んだスタントマンにとっては、できて当然の範囲内でしょう。今じゃそこらへんの安物ドラマの殺人シーンだって被害者が神社の石段を転落するシーンなんかいくらでも見かける。「よくて半身不随、悪くすれば命を失う」はいくら何でもオーバーです。

 そればかりでなく、スター俳優の銀四郎(風間杜夫さん)が、俳優として成功するために、自分の子を身ごもった小夏(松坂慶子さん)を大部屋俳優のヤス(平田満さん)に押し付けるとか、そいでまたヤスも小夏もやけに素直にそれを受け入れるとか、そのくせ階段落ちの前日になったらヤスは突如急変して暴力を振るい始めるとか……

 なんかシッチャカメッチャカな話。
 要するにこれって、喜劇として見ればそれなりに面白くはありますが、本気で共感できる物語では全然ありません。
 冒頭で銀四郎が、自分が一番目立とうとして、監督や脚本を全部無視して勝手にカメラの前で一人芝居を始めるなんていうのも、本物の映画業界ではありえない話で、これから始まるのが荒唐無稽な喜劇だということを端的に表わしています。

 なのに、最後まで来ると思わず「うるっ」と来てしまうのは、これはもうひとえに松坂慶子さんの渾身の演技の賜物ですね。
 1人の男を本気で命がけで愛する女、っていうのを見事に演じておられるから、こっちもついつい小夏に感情移入して思わずホロリと来てしまう。

 もし小夏が松坂慶子さんでなかったら、他のクサい大根女優だったら、私はこの映画を、無駄に仰々しいだけで大して面白くもないドタバタ喜劇として即座にゴミ箱送りにしていただろうと思います。

 松坂慶子さんって、ほんとに素敵な女優さんですね。
 若い頃はこんな飛びぬけた美貌と優れた演技で日本中の男女を恍惚とさせ。
 しかも、そういう人はしばしば、ちょっと歳をとったらすぐに「劣化した」とか言われて見向きもされなくなる人が多い中、魅力的なお母さん役・おばあちゃん役もちゃんとこなして、年齢相応の素敵な女性をいつも演じつづけて観客をいつまでも魅了し続けておられる。

 そういう松坂慶子さんの、若い頃の人並み外れたオーラを感じさせてくれるところに価値のある映画だと思います。

詳細評価

物語
配役
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音楽

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