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ゴースト・ドッグ

ゴースト・ドッグ

GHOST DOG: THE WAY OF THE SAMURAI

116

一人旅

4.0

ジャームッシュの武士道

ジム・ジャームッシュ監督作。 武士道の精神を体現する殺し屋ゴースト・ドッグの孤独な戦いを描いたドラマ。 黒人俳優のフォレスト・ウィテカーが武士道を敬愛する殺し屋に扮した異色作だ。江戸時代に書かれた武道書を読みふけり、日本刀を華麗に操る。主君と家来の絶対的な主従関係を自身の道理とし、過去に命を救ってくれたマフィアの男に忠誠を誓う。 殺しのシーンは鮮やかで、勢いだけで敵地に乗り込み銃を連射するだけではない。思わず“おぉっ!”と唸りたくなるような意外性のある殺し方も印象的だ。 また、殺し屋と近所の少女のちょっとした読書談義や、アイスクリーム屋のフランス人との言葉の壁を越えて成立する友情といった些細だが温かみのある人間ドラマも本作の魅力である。 殺伐とした雰囲気をユーモアが効果的に緩和していることも特徴だ。重大なミスを犯した手下のマフィアの処遇を決める緊迫した場面でも、途中から全く関係のない話にすり替わる(ちょっとタランティーノっぽい?)。時おり意味もなくボォ~~ンという鐘の音が聞こえてきたり、なぜか頻繁にテレビで放映されるアメリカン丸出しのアニメを、マフィアのボスが無表情で眺め続ける姿も訳の分からない可笑しさがある。映画のお約束から意図的にズラしたシュールな演出の数々に、ジャームッシュ監督の独特のセンスを感じさせるのだ。

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