レビュー一覧に戻る
猿の惑星

猿の惑星

PLANET OF THE APES

113

ポンコツ

5.0

ネタバレ皮肉と批判の利いた傑作

猿の惑星。 文字通り、猿の支配する星。 あまりにも有名な衝撃の結末。 今作も上記は相当前から知ってはいたけど、本編を通して観たことはない作品。 と言うか、実は随分と前に「創世記」を先に観てしまったので、原点にして原典たる今作を思い立って鑑賞。 結論から言うと、猿と人間の立場が逆転した世界をめぐるSFサスペンス。 …だけではなく。 実は、物語の序盤で早々に答を示している。 この猿の惑星の舞台を。 テイラー船長の何気ない台詞と湖岸に立てた小さな星条旗で。 で、あの結末。 非常に皮肉が利いている。 当然ながら、いい意味で。 あと、今作は公開当時の東西冷戦状態に対する批判と警鐘も含んでいるかと。 脳外科手術が出来る優れた医療技術の反面で飛行技術は皆無というチグハグな猿の文明は、聖典を記した先達と科学庁が文化の発展をある程度抑制しているのだろう。 オーパーツの研究を禁じているのも、禁足地も、全ては人間を恐れているため。 かつて突然変異でない人間同士が争って世界を滅ぼしたことを知っているため。 だからこそ紙飛行機を潰し、ヒトの言語を手術で封じ、異端審問の場で「見ざる言わざる聞かざる」し、古代文明の遺跡も爆破する。 あの像の前で、真実を知ったテイラー船長が過去の同胞に呪詛を吐く。 見事な脚本である。 特に、あの像の結末を加えたロッド・サーリングは称賛に値する。 言うまでもないが、これで今作が映画史に残る名作になった。 と言うか、当方の大好きな『トワイライト・ゾーン』の生みの親が今作に一枚噛んでいるとは思わなかった。 宇宙船不時着水に特筆される撮影。劇伴。半世紀前とは思えないメイク技術も見事。 宇宙船の船内だけは流石にご愛敬。 リンダ・ハリソン演じるノヴァは可愛く、甥っ子のルシウスも微笑ましい。 その他、演者達については文句無し。 ただ、あの案山子は結局のところ何だったのかとか、知能の低いヒトであるノヴァが普通に馬を操れているとか、チョコチョコと粗も見え隠れするのが実に惜しい。 という訳で。 皮肉と批判の利いたSFサスペンスの名作古典。 若干の瑕疵を感じたので、四捨五入で星5つ。 それでも未見の方には是非ともオススメ。 当方の様に結末の仄聞で留まっている方には、一見の価値はありかと。 いつか「創世記」もレビューします。

閲覧数281