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サンタ・ビットリアの秘密 (1969)

THE SECRET OF SANTA VITTORIA

監督
スタンリー・クレイマー
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4.75 / 評価:13件

100万本のワインボトルリレー

  • 一人旅 さん
  • 2016年12月5日 16時09分
  • 閲覧数 298
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

スタンリー・クレイマー監督作。

二次大戦時、イタリアの田舎町サンタ・ビットリアを舞台に、侵攻してきたドイツ軍に抵抗する町民の姿を描いた戦争コメディ。

巨匠スタンリー・クレイマーによる60年代戦争コメディの傑作。クレイマーは戦争責任を題材に硬派な社会派の傑作『ニュールンベルグ裁判』を撮っているが、本作は同じく戦争を描いていながら、その作風は真逆。我が物顔で侵攻してくるドイツ軍に対する町民の抵抗を、明るくコミカルな演出で描く。

物語は、ムッソリーニ政権が崩壊したことで新町長に大抜擢された飲んべえの中年男・ボンボリーノが、町の資産である100万本のワインをドイツ軍から守るため洞窟に隠そうと奮闘する姿を描く。征服者を大歓迎することで危機を回避したジャック・フェデーの『女だけの都』同様、あからさまな態度でドイツ軍を拒絶するのではなく、あくまで表向きは歓迎を装いつつ、裏では大量のワインを隠し通すため町民一丸となって死力を尽くすお話。
本作は『女だけの都』とは異なり、中心となって活躍する人物は男ばかりだが、『女だけの都』のフランソワーズ・ロゼーを彷彿とさせるのがアンナ・マニャーニ演じるボンボリーノの妻ローザ。ザ・イタリア肝っ玉かあさんという風貌で、言動も男勝り。自殺しそうな夫に対して冷たい一言を言い放ったり、反撃に出る夫に倍返しで罵倒を浴びせたりと、とにかく強い女。ドイツ軍に媚びへつらう夫やその他町民とは対照的に、ローザだけは敵意剥き出し。物怖じせずドイツ軍将校に歯向かう姿は誰よりも怖い物知らず。
強い妻と弱い夫で上下関係が明確だが、本作には町長になったダメ夫・ボンボリーノの成長譚的意味合いがあり、ワイン隠し&ドイツ軍対応に奔走する中で、生まれ育った町に対する愛情と責任感に芽生えていく。前半のボンボリーノはそのダメっぷりばかりが強調されて全然頼りないのだが、徐々に町を守るかっこいい英雄へと変貌していく。その変わり様は感動的で、なぜか少し涙が出そうになるほど。

クレイマーによるダイナミックな演出も魅力。町民総動員でバケツリレーならぬワインボトルリレーするシーンは壮観。ワイン100万本という途方もない数字だが、リレーの途中に5分間の休憩を挟んだり、腕の疲れによってボトルが落下し始めるなど細かい描写にも拘っている。リレーを引きの映像で捉えたショットは迫力満点だが、一人一人の動作をアップで映した映像も印象的。良く見ると人によってワインの受け取り方・渡し方が違っていて、両腕を使う人もいれば片腕だけで受け渡しする人もいたり。間違いなくこのワインボトルリレーが本作最大のクライマックスで、製作者&エキストラの並々ならぬ気合いが伝わってくる。

そして、主演のアンソニー・クインの演技が絶品。ヘロヘロ飲んべえから町を救う英雄へと生まれ変わる町長ボンボリーノを熱演してみせる。フェリーニの『道』はもちろん、『革命児サパタ』『その男ゾルバ』など、どの作品でもその個性的風貌を含めて圧倒的存在感を放っていたアンソニー・クインの俳優魂を堪能できる。特に、ドイツ軍将校に「ワインを没収するぞ」と言われた際に見せるオーバーな演技は最高にコミカル。心臓を手で押さえ、ヨロヨロよろめきながら地面に倒れ落ちるという怪演で、コワモテのアンソニー・クインがそんなことするんだから余計に面白くて笑いを抑え切れない。

詳細評価

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