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3人の逃亡者

3人の逃亡者

THREE FUGITIVES

96

一人旅

5.0

久しぶりに終わらないでほしいと思えた傑作

フランシス・ヴェベール監督作。 二人の強盗犯と幼女の逃亡劇を描いたコメディ。 逃亡劇だがのんびりとした空気が漂っているため、ロードムービー的色合いが濃い。中年男と幼女の逃亡劇は『ペーパー・ムーン』のようであり、幼女メグの物静かな可愛らしさは『ミツバチのささやき』のアナ・トレントを思い出す。ニック・ノルティ扮するルーカスとマーティン・ショート扮するネッドの凸凹コンビが織りなすコミカルでドタバタしたやりとりも面白いし、見ていて不思議な心地よさを覚えるのだ。 コメディ、アクション、ロードムービー、ヒューマンドラマのバランスがとにかく素晴らしい。ボケた獣医がルーカスを犬扱いする一連のシーンは最高に笑った。あのユーモアのセンスは凄い。男の渋さ全開で怒りっぽい性格のルーカスをとことんいじり倒すという可笑しさ。獣医の異常な行動に思わずキョトンとしてしまうルーカスの表情が忘れられない。 本作はヒューマンドラマとしても秀逸だ。子ども嫌いのルーカスとメグの関係性は本作のもう一つの軸となる。これもまたルーカスの気難しく短気な性格が活かされている。近づくな!と言ってもそばにぴったりくっついてくるメグの健気な姿を見て、孤独に生きてきたルーカスに初めて芽生え始める父性のような優しい感情。メグの存在がルーカスの心を動かし、やがて、それぞれ自分の利益のためだけに行動していたルーカスとネッドの関係にも結束感や友情が生まれ、二人が取る行動の目的に大きな変化が訪れていくのだ。ラストシーンは感動的で思わずホロリと泣けてしまった。 柔らかく切なさを感じさせる曲調の音楽も印象的で、本作の雰囲気にぴったり合っている。

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