ここから本文です
【お知らせ】映画館の上映スケジュールについて、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により、実際の上映時間と異なる可能性があります。ご不明な場合は、各劇場にお問い合わせくださいませ。

三文オペラ (1930)

DIE DREIGROSCHENOPER

監督
G・W・パブスト
  • みたいムービー 2
  • みたログ 22

4.00 / 評価:7件

ヒトラーが目の敵にした異形のオペラ

  • gar***** さん
  • 2008年10月27日 10時31分
  • 閲覧数 402
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

舞台はロンドン。この街の泥棒の元締め・匕首メッキーの姿から、腐敗した資本主義を映し出したクルト・ヴァイルのオペラの映画化作品。
1928年にベルリンで初演されたこの作品は、現在では20世紀のオペラの傑作として認知されています。しかし、初演当初はその過激なストーリーとグロテスクな人物造型(泥棒の親分メッキーと通じているタイガー・ブラウン警察署長など)、そして前衛的なメロディーラインで、保守的な人々の怒りを買うなど賛否両論渦巻く問題作でありました。
その象徴といえる曲が、映画冒頭でエルンスト・ブッシュ扮する流しの歌手が歌う『モリタート』。アメリカにおいて『マック・ザ・ナイフ』の名前で知られ、ボビー・ダーリンの歌でも知られます。アメリカ版が陽気なメロディでかなり親しみやすくなっているのとは対照的に、不気味なムードと鋭い風刺がこもった歌詞が何ともいえないグロテスクな趣きを感じさせます。モリタートとは、流しの音楽師が手回しオルガンや紙芝居を使って殺人など猟奇的な事件を歌で語る一種のかわら版のような音楽のことで、16世紀にドイツで誕生したものだそうです。
また、この作品はナチスによって退廃音楽として禁止された作品の一つ。特にそれを象徴する歌が、メッキーと彼の友人タイガー・ブラウンが歌う。『大砲の歌(キャノネン・ソング)』です。軍隊で共に戦った時代を振り返るメッキーとブラウンの場を借りて、「砲弾が止むことはない」と繰り返されるこの曲は、再軍備と強いドイツの復活を目指すナチスやそのシンパにとって消さなければならなかった存在だったことは、間違いないでしょう。
実際、この映画の製作からわずか2年後にナチスが政権を握った時この映画に関わった人々は亡命や強制収容所送りとなり、その運命を変えざるを余儀なくされています。作曲者クルト・ヴァイルはアメリカへ、メッキーの妻となるポリーを演じたカロラ・ネーヘルはオーストリアからソ連へ渡り、スターリンの粛清にあい強制収容所で獄死。そして、『モリタート』を歌ったエルンスト・ブッシュに至っては、亡命後スペイン内戦に参加して捕らえられ、ドイツに送還。その後強制収容所に送られますが奇跡的に生還します。
ナチスが才能ある映画人、演劇人を粛清したことで1920年代に文化の最先端地として隆盛を極めたベルリンは、すっかり衰退してしまいます。
ヒトラーが目の敵にした異形のオペラを知る映画です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ