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幸福(しあわせ) (1964)

LE BONHEUR/HAPPINESS

監督
アニエス・ヴァルダ
  • みたいムービー 48
  • みたログ 172

3.71 / 評価:62件

懐かしい…想いが込み上げてきます

  • omoidarou さん
  • 2010年11月21日 0時41分
  • 閲覧数 916
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

昔、新宿でロードショーで見ました。
何ともシンプルでいい映画ですねえ。
愛情と性欲の実相をものの見事に描いている秀作だと思います。
私はこの映画見て、当時クラリネット買ってしまったのを想い出します。

この映画が言いたいことは、男の愛がどうの女の愛がどうの…ということではないのでしょう。
内容を逆にして、妻が愛人をつくって欲望に溺れ、それを苦にした旦那さんが自殺、妻は愛人と結ばれて、今度は前夫との間に残された子供を育てている…としても同じことでしょう。

子供を育てながらの一家団欒、幸福に見える家庭生活も、一皮剥けばこんなに危なっかしい得体の知れない《愛》と呼ばれるものの上に成り立っているんだよ…という、まことに怖い映画のような気がします。

この旦那さん役を演じたジャンクロード・ドルオーという俳優さんの実の妻と実の二人のお子様を起用して撮影したというのがこの映画のみそで、さりげない自然な家庭の描写の巧みさが際立っていました(素でやれたんだから当たり前か?)。
しかし奥さんの乳房は秘密のない《物》として開けっ広げに描き、愛人の乳房は密やかに見せるでも見せないでもなく《美的》に描くというのは、演出とはいえちょっとした差別を感じますねえ。実の奥さんも十分に色っぽかったですよ。

愛してはいても妻に欲望を感じなくなった男が、熱いセックスに没頭出来る愛人をつくったことにより生まれる悲劇ですが、これを悲劇として描かず、相手が変わって新たな一家団欒が誕生しました…として結んでいるところが秀逸です。

色もいい、構図もいい、やたらとポスターがいい。
物語のシンプルさも手伝って、瞬間のカットの印象力は四十五年経ってもまったく衰えることのないのは凄いです。
撮影が前年に「シェルブールの雨傘」も撮影した人というのであれば、さもありなん…と、妙に納得です。ジャック・ドゥミと結婚したてのアニエス・ヴァルダ監督、こんな映画創っていて夫婦生活は大丈夫だったのでしょうか…?。

幸福感に満ちたモーツァルトのクラリネット五重奏曲と、映画の始まりとラストを飾る不気味な不安感を煽る「アダージョとフーガ ハ短調K.546」の対比が実に見事でした。「アマデウス」が創られるほぼ二十年前に、モーツァルトの偉大さを映画ファンの間に知らしめた価値は絶大だと思います。

詳細評価

物語
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