ここから本文です

シー・ホーク (1940)

THE SEA HAWK

監督
マイケル・カーティス
  • みたいムービー 1
  • みたログ 8

3.50 / 評価:6件

エロール・フリン活劇の決定版

  • rup***** さん
  • 2015年6月9日 23時31分
  • 閲覧数 564
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は、エロール・フリンの活劇のエッセンスを詰め込んだ豪華版です。冒頭の帆船同士の海戦シーンは「海賊ブラッド」、パナマでの黄金の略奪シーン(裏をかかれて結果的に失敗に終わりますが・・・)は「ロビンフッドの冒険」、エリザベス女王を中心とする宮廷場面は「女王エリザベス」と、様々な要素が寄り集められていて観る者を楽しませてくれます。

ただし、エリザベス女王を演じたのは「女王エリザベス」でフリンと演技スタイルが全くかみ合っていなかったベティ・デイヴィスではなく、イギリスで製作された「無敵艦隊」で同じエリザベス役を演じたフローラ・ロブスン。
本作でのロブスンのエリザベス再演は実に素晴らしく、「無敵艦隊」のときのように女性を捨てヴァージン・クイーンとしての道を選ぶことによって抱える心の葛藤といった部分は深く描かれていませんが、大国スペインに屈しない誇り高き英国女王としての姿とともに、近臣の者たちに対しては柔らかい人間味のある一面を見せているのが印象的で、彼女の存在が作品全体を引き締めているように思います。

さらに、音楽を手掛けているのが上記のフリンが主演した3作品と同じくエーリッヒ・ウォルフガング・コルンゴルト(映画ファンにとっては”コーンゴールド”と呼ぶほうがしっくりくるかもしれません)で、勇壮なメインタイトル(「嵐の青春」序曲とともに「スター・ウォーズ」のテーマ曲にインスピレーションを与えたであろう曲として知られています)に始まり、最後のソープ船長vsウルフィンガム卿の一騎討ちに至るまで、華やかで壮麗な旋律に心奪われます。
とりわけ、ガレー船内でのオールの速度を刻む木槌の音から引き継がれてスペイン大使の姪マリアが宮廷で奏でる憂いを含んだ恋の歌の美しさ、自由を勝ち取った船乗りたちが喜びと共にいざドーヴァーの港へと高らかに歌い上げる力強くも瑞々しい歌声は、映画音楽の持つ魅力が最大限に発揮されているシーンといえるのではないでしょうか。

フリンの演じるソープ船長が女性に奥手という性格として描かれているのはちょっと意外な感じがしますが、船の甲板からブレンダ・マーシャルが演じるマリアに対して不器用なアプローチをする場面やバラ園での語らいなどは初々しさが出ていてこれがなかなか良いのです。
ドーヴァーですれ違いとなる別れのシーンも、マイケル・カーティス監督の見事な演出による互いの表情の切り返しで心情が語られますし、馬車の中での情熱的な再会も含め2人が共にいるシーンが少ないにもかかわらず、そのどれもが強く心に刻まれます。
本作ではいつもの相手役オリヴィア・デ・ハヴィランドでないことがより新鮮な印象につながっているように感じられました。

そして、ハイライトでの一対一の剣戟場面は、互いに斬り結ぶ様式的な美しさに魅せられます。蝋燭を次々と斬り落としていく剣の音。カーティス・シャドウとも言うべき壁に映し出される巨大なシルエット。「血闘(スカラムーシュ)」のように延々と斬り合うわけではないもののその動きの呼吸のよさにコルンゴルトの音楽が重なると、自然と心が湧き立ってしまいます。

ラストでは、エリザベス女王が「誰も望まぬ戦争の準備を始めよ」と来たるスペインとの決戦に向けて国民に演説をするわけですが、本作でのフィリップ王(フェリペ2世)治世下のスペインはそのまま当時ヨーロッパで侵攻を続けるドイツ第三帝国とオーバーラップするようになっています。一種の国防プロパガンダになっているという意味では、戦後作られる娯楽活劇とは一線を画していて、その緊迫した空気感が生々しく伝わってくるのが今観ても色褪せない魅力の1つとなっているといえるのかもしれません。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 楽しい
  • 悲しい
  • スペクタクル
  • ゴージャス
  • ロマンチック
  • 不気味
  • 勇敢
  • 知的
  • 絶望的
  • 切ない
  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ