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ジェーン・エア (1944)

JANE EYRE

監督
ロバート・スティーヴンソン
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3.42 / 評価:31件

教科書では習えない世界史、心性史

  • 百兵映 さん
  • 2013年6月10日 16時41分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

 身寄りを失った不遇の子がローウッド学院(institution)に入所した朝、校長(chairman)は、この子を台の上に立たせ、指さして言う。
 「生徒たち(pupils)よ。悪魔が彼女にとりついる。よって君たち……、彼女を遠ざけ 交際を避けろ。遊びや会話の仲間に入れてはいけない。」
 「教師たちも注意するように。彼女の言葉や挙動を監視し、魂を救うための体罰を。」

 とても正視できない。胸が痛む。体が凍る。―― こういうことが本当にあったのだろうか。原作の同名小説が刊行されたのが1847年のイギリス。映画化されたのが1944年。およそ100年後だ。そして、これを見るのが更に70年後、つまり今から170年昔の話だ。

 私はイギリスのロンドンタワーを思い出す。この城はいかにも頑強で立派な石造りだ。でも、ただでさえ寒いイングランドの、石造りの建造物は、率直に言って、暗くて薄気味悪かった。この映画で、あの時の気分になってしまった。

 宗教革命、産業革命を経て、社会の構造が大きく変化し市民の間での下剋上レースの時代。早いもの勝ち、強いもの勝ちの時代。当然のように、少数の成り金・勝ち組と大多数のアウトロー・負け組に振り分けられ、二極分解はどこまでもエスカレートする。

 教科書では教えてくれない世界史を見せられた。これほどのものであったか、と身震いする。そしてまた、(現代も含めて)いつのどの国といわず、基本的にはこういうものかと理解する。いや、これよりひどい状況が今もある。豪奢な冨の陰の罪深い部分、アウトローの悲惨な部分。それでも、したたかに生きる人々。確かな人の心性を磨く人々。地獄の中で神々しさを見出し振る舞う人々。

 いやぁ、この映画の後、しばらくは食事がいただけなかった。

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