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木靴の樹 (1978)

L' ALBERO DEGLI ZOCCOLI/THE TREE OF WOODEN CLOGS

監督
エルマンノ・オルミ
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3.93 / 評価:106件

古い時代をありのままを描き、新たな道へ

  • nik******** さん
  • 2016年4月27日 12時44分
  • 閲覧数 1366
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

この映画は、貧しい小作人たちの厳しい現実も描いていますが、彼らが貧しさゆえに身を寄せ合って、神に祈りを捧げながら、まじめに、明るく暮らす姿も生き生きと描いています。生活風景の描写はとても丁寧です。時にはおっちょこちょいで愚かなエピソードもあり、その間抜けな顛末に、映画館の客席はどっと笑いに包まれました。その笑い声からは観客たちの、「今、この映画を観ていて幸せだ」という気持ちが伝わってくるようでした。

ほとんどの利益を大地主に奪われてしまうような、古い社会システムは改革されるべきですが、オルミ監督は、そんな社会の「古き良きもの」についても、温かい眼差しで描こうとしています。古い時代には改革すべき悪い点があるが、改革はメリットだけでなく、大切なものを失なってしまう可能性もある。古い時代をすべて頭ごなしに否定するのではなく、古い時代の良い一面も評価する者を守旧派と糾弾するのではなく、きちんと、ありのままに、その時代のことを記録・記憶しておこう。人間の豊かな営みのことを忘れないでおこう。苦しかったことも忘れないでおこう。そのうえで、メリットとデメリットを天秤にかけ、新たな道を見いだして歩んでいこう。オルミ監督にとっての「ネオリアリスモ」とは、過去の良さを忘れずに改革を目指すための「道」なのかもしれません。「道」とは、後ろを振り返らない一方通行のものではなく、人が歩み、人が出会う中で踏み固められて出来上がっていくものなのでしょう。私には、そう感じられました。

人が、人の営みが愛おしく思える、素敵な映画でした。プロの俳優ではない演者たちの素朴な顔だち、自然な表情が忘れられません。

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