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獅子座 (1959)

LE SIGNE DU LION/THE SIGN OF LEO

監督
エリック・ロメール
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3.76 / 評価:17件

ロメール作品の出発点を確認できる秀作

  • URYU さん
  • 2010年5月5日 14時18分
  • 閲覧数 638
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

エリック・ロメール監督の長編デビュー作品。

40歳間近の自称音楽家=ピエール(ジェス・ハーン)は、ろくに働かずに友人にたかって生活する“自由人”なのだが、ある日、叔母の膨大な遺産が転がり込むという知らせを聞いて、友人達を深夜に招いて乱痴気パーティを繰り広げる…しかし数日後、その遺産は全て彼の従弟へ渡ると分かって一瞬のうちに一文無しに…すでにアパートを出ることになっていた彼は、とりあえず宿泊費を借金したり踏み倒したりしながら安ホテルを渡り歩くが、とうとう目をつけられて泊まれなくなり、ホームレスとなる。…バカンスに行った友人に金を無心しようと電車のチケットを手に入れるが、野宿した時にうっかり落して…仕方が無いから徒歩で友人を訪ねるのだが、道中、腹が減り落ちたものを拾って食べたり、川縁で遊ぶ子供のおやつを拝借しようとしたり、市場で万引きし主人に殴られたり…路頭に迷い自らの運命を呪う…靴底が剥がれて、疲れて歩けなくなった時、乞食のオヤジ(ジャン・ル・プーラン)にパンをもらった事から、行動を共にし、カフェの客に小銭を恵んでもらう生活へ…流転の人生を恨み始めた頃に、長期出張から帰った友人(ヴァン・ドード)と再会して、奇跡の様な一発逆転の転機が訪れるのだった。

この映画は、後年に見た事もないロメールの一片が見られて興味深かった…まず、レスラーの様ないかつい巨漢=ジェス・ハーンが主演である事…ロメールといえば、若い女の子たちを活写する達人だが、本作では男くさい40男がメインを張る。

会話よりも状景…後年のロメールは、登場人物に会話させる事で、エスプリを醸し出す語り口が特徴だが、本作では、主人公はむしろ寡黙で、あまり喋らない。

ただ、後年のロメールらしい部分も多々見られた…正攻法の描き方で、主人公をジワジワと窮地に追い詰めて行き、終盤にどんでん返しを用意しているのは、ロメール作品ではよくある事だ。

また、心理的なエモーションを盛り上げながら、延々と人物が歩く描写が続くのは、後のロメール作品も同じだ…(そう、ロメールのキャラクターたちは歩くのが大好きなのだ)

本作は、モノクロ画面が与える印象が、どこかイタリアのネオレアリズモ的にもみえたが、屋外の一発撮りと思われるシーンもいくつかあって…通行人がカメラ目線で通り過ぎるから即興だとわかる…確かに最初期のヌーヴェルバーグに違いない。

これは、ロメール作品の出発点を確認できる秀作。

追記:冒頭のパーティのシーンに、ジャン=リュック・ゴダールが、主人公の音楽家仲間の役柄で、役者として出演している…1枚のレコードの出だしの部分だけを、無言で繰り返し聞く男…変人ぶりが、ゴダールにピッタリだと思った。

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