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7月4日に生まれて (1989)

BORN ON THE FOURTH OF JULY

監督
オリヴァー・ストーン
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  • みたログ 2,692

3.42 / 評価:512件

『プラトーン』と合わせて観よう!

  • koj***** さん
  • 2015年6月21日 0時16分
  • 閲覧数 1645
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

オリバー・ストーン監督作! というと、何度も名前を聞いてきた有名作だと思いつつも、「重厚な実話ベースの戦争モノ」というイメージが強く、取っ付きにくい印象が拭えなかった。今回の『7月4日に生まれて』も正直あまり気は進まなかったのだが、昨年末に『プラトーン』を観ていたせいか何とか観終えることができた。

アメリカ合衆国最大の汚点であり、最大のトラウマと言われる「ベトナム戦争」。故にこの戦争を描いたハリウッド映画は多々あるが、恥ずかしながら私はこの戦争のことを良く知らなかった。この映画を観終わった今でも完全に理解できたとは言えない。が、少なくとも全くの無知とは違う次元には行けたと思う。
自分に無かった重要な知識を少しでも掬い取れるのが映画の良いところだし、それが出来たこの作品は、きっと「良い映画」であるのに違いない。

主演のロン役、トム・クルーズの演技力にとても驚いた。正直、「超大作に主演する“賞には縁がない”大人気スター」のイメージだったが、それはこういう作品以降に定着したのだろうか?
冒頭、愛国心溢れる“ザ・アメリカンボーイ”を、あの人好きのする笑顔で演じていた時には特に感じなかったのだが、話が進むにつれ、まるで別人のように彼の姿は変貌していく。特に、中盤自暴自棄になって荒れ狂うロンの姿は、今現在のトムよりも確実に老けて見えた。
映画は2時間超の中で約10年間の話を語っていくのだが、その「10年間」が見事にロンの姿に体現されていたのだ。それは、トム自身が本当にロンになりきっていたことの証であると思う。彼がどれだけ役に入れ込み、全身全霊で演じていたのか、この作品を観た人ならみんな分かるだろう。この役でアカデミー主演男優賞候補に挙がったそうだが、それも納得の素晴らしい演技だった。

話のインパクトや筋としては、『プラトーン』の方が魅力的で面白かった、というのが正直な感想。戦場での壮絶な戦闘場面を、個性豊かな青年兵たちの群像劇の形で描いたのが『プラトーン』なら、『7月4日に生まれて』はその地獄から帰還した一人の男の話だからだろう。一言で言えば、地味なのだ。

しかし、実際の戦争は戦いだけで「ハイ、おしまい!」というわけにはいかない。戦い生き残った兵士たちは故郷に帰り、そこで“戦う前の生活”に戻る、という二つの面が確実に存在する。特に、帰還兵たちのPTSDが深刻な社会問題になったベトナム戦争だから、その両方の面を描くことに意味があるし、寧ろ描かねばならなかったのだろう。『プラトーン』と『7月4日に生まれて』は、二つ合わせて完全な球体になる“半球”と言ったところか。

反共産主義の嵐の中、愛国心を胸に一生懸命戦ったのに、いざ下半身不随になって帰って来たら国は反戦ムード一色。浦島太郎気分のロンが「いったい何のために戦ったのか」と絶望する気持ちは、時代や国や性別が変わろうとも誰しもが痛感できる。
そして、反戦を訴えようとして警察に打ち据えられるロンの姿と重なる、「ベトナム帰還兵をもっと大事にしよう」と呼びかける大統領の姿。なんという皮肉。政府の口先だけの綺麗事が、如何に中身を伴わないおぞましいものか、ということも時代や国や性別関係なしに伝わるだろう。

実際にベトナム戦争に従軍した監督ならではの、強烈な反戦意識が感じられる名作。こういう作品は気軽に観られるものではないが、何年かに一度見返す必要があるのだろう。

しかし、これを観た後だと『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』にあの役でトムをキャスティングしたベン・スティラーは(ある意味)凄いな~と思うし、あの役を受けたトムも(ある意味)凄いな~と思う(笑)きっと本当にナイスガイなんだろうな、トムは…。

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