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歴史を変えた『ムーンライト』…“21世紀の5大ロマンス映画”に選出

cinemacafe.net

2017年3月13日(月) 16時30分 更新

『ムーンライト』 (C)2016 A24 Distribution, LLC

『ムーンライト』 (C)2016 A24 Distribution, LLC

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本年度アカデミー賞作品賞を獲得し、異例の1か月“前倒し”の拡大公開が決定した『ムーンライト』。マイアミの貧困地区を舞台に、少年の成長と愛を3つの時代構成で追った本作が、“21世紀の5大ロマンス映画”に選ばれたことが分かった。

名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校ではいじめっ子たちから標的にされる日々。母親はドラッグに溺れている。そんなシャロン少年にとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友だちだった。高校生になっても何も変わらない日常の中、ある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初めてお互いの心に触れる。やがて、成人した2人は再会を果たすが…。

第74回ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ドラマ部門)受賞、第89回アカデミー賞では8部門にノミネートされ、作品賞・脚色賞・助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門を獲得した本作。“オスカー前哨戦”では、最も多くの作品賞を受賞していた(329部門ノミネート・158部門受賞)。

さらに、89年のアカデミー賞の歴史の中で、LGBTQをテーマにした作品として初めて作品賞を獲得、まさに「映画史を変えた作品」となった。LGBTQとは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)に加え、クィアまたはクエスチョニング(Q:性同一性や性的志向がはっきりしない、確信が持てない)を含めた人たちのこと。自分の居場所を探し求める黒人少年の成長を、色彩豊かで革新的な映像美と心情に迫る音楽で綴った本作は、貧困やネグレクト、いじめ、ドラッグなどが描かれ、重めのドラマを連想しがちではあるものの、実は主人公シャロンのピュアすぎる恋心が綴られた切ないラブストーリーだ。

過去の“恋人的”な同性の旧友と再会するまでの20年間を、3つの時代構成で描いた物語は、米・映画サイト「THE PLAYLIST」が選ぶ「21世紀のロマンス映画」でも、『エターナル・サンシャイン』『花様年華』『キャロル』『ビフォア・サンセット』に次ぐラブストーリーとして5位にランクイン。観たあとも、ずっと頭や心から離れない余韻を残す作品、むしろ時間が経つにつれて印象が色濃くなってくる作品として高く評価されている。

これまで、LGBTQをテーマにした作品としては『めぐりあう時間たち』(’02)、『ブロークバック・マウンテン』(’05)、『ミルク』(’08)、『キッズ・オールライト』(’10)、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(‘14)など、アカデミー賞作品賞にノミネートされながら受賞できなかった作品は数多い。例えば、『ブロークバック・マウンテン』は第78回において作品賞を含む最多8部門にノミネートされたが、アン・リーの監督賞ほか、脚色賞、作曲賞の3部門受賞にとどまり、ケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラがそれぞれ第88回主演・助演女優賞にノミネートされた『キャロル』は作品賞にノミネートさえされなかった。

こうした経緯を鑑みると、本作はまさに映画史、アカデミー賞の歴史を塗り替えた記念碑的作品といえる。この春に上陸する、最も切なく、最も純粋な愛の物語を楽しみしていて。

『ムーンライト』は3月31日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。

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