ここから本文です

長澤まさみ、必死さから生まれる「振り切り力」

シネマトゥデイ

2018年5月31日(木) 7時50分 更新

「楽しんでもらいたい」という思いは人一倍! 長澤まさみ - 写真:中村嘉昭

「楽しんでもらいたい」という思いは人一倍! 長澤まさみ - 写真:中村嘉昭

シネマトゥデイ

 映画『銀魂』で、キレると怖い美人ホステス・志村妙を演じ、福田雄一監督をうならせた女優の長澤まさみ。その潔い演技は、現在放送中のドラマ「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系)の詐欺師役でも遺憾なく発揮されている。コメディーという分野で新たな才能を開花させた長澤が、再び福田監督とタッグを組んだ最新作『50回目のファーストキス』では、山田孝之演じるツアーコーディネーター・大輔と“毎日”恋に落ちる短期記憶障害を負った瑠衣を熱演。「福田組は想像以上にドキドキした」と述懐する長澤が、笑いにおける自身のポテンシャルを分析した。

 福田組といえば、そのゆるい作風から“笑いの絶えない現場”というイメージがある。ところが長澤にとっては、必ずしもそうではなかったようだ。「福田監督は舞台をやられていた方なので、一発本番が多いんです。だから、自分がその瞬間に集中力を発揮できるように準備しておかないと、大変なことになってしまう。毎回、撮影は勝負みたいなところがあって、すごく怖くてドキドキしていました」と胸の内を明かす。

 ところが、福田組をよく知る共演者の山田から、「福田さんは、『ダメだ』と思うと何度でもNGを出す監督。逆に一発OKでスピーディーに行ったということは、「長澤まさみ、いいね!」という証し」と教えられると、「えっ、そうだったの?」と、うれしそうに笑みを浮かべる。大胆なようで、実は怖がり、そんなところがまた、長澤の愛されキャラに拍車をかける。

 とはいうものの、『銀魂』「コンフィデンスマンJP」、そして本作と、長澤の弾け方がハンパないのは確か。例えば、山田演じる大輔の親友役を務めたムロツヨシをバットで叩くシーンがあるのだが、長澤の暴れっぷりに、なぜか笑いが湧き起こる。とにかく“振り切り方”がものすごいのだ。「あのシーンは、笑わすんじゃなくて、本気でいかないと面白さが伝わらないので。心の中で『ムロさんごめんなさい!』と思いながら、一応、大丈夫なところを狙って叩いているんですが、本番はどうしても力が入っちゃうので、何発か後頭部に入っていたかも!」と苦笑い。

 さらに長澤は、「観ていただく方に『楽しんでもらいたい』という思いが人一倍強いんです。別に『振り切りたい』とか、『ここで面白いことをやってやろう』とかは全く考えてなくて、ご覧になる方に『いいものを観た!』って感じてもらうことを望んでやっているだけ。ただ、どうやったら面白くなるのかな? というのは常に考えているかも(笑)」と、貪欲さものぞかせる。

 長澤に対する福田監督の期待値もどんどん上がっていると思うが、これに対して長澤は、「今はとにかく必死。そう、必死なんです! 福田監督の期待に100%応えるためにはどうしたらいいのか、まだ自分でもよくわかっていないのですが、今は、必死にやった結果が「面白くなっていると良いな」みたいなことだと思うんですよね」。

 ハリウッド映画『50回目のファースト・キス』をベースにした本作は、昨日の出来事の記憶が一晩で消えてしまう瑠衣に恋した大輔が、毎日彼女と出会い、恋をして、そしてキスをする、切なくも果てしない恋の物語。瑠衣は短期記憶障害を抱えているが、長澤自身も記憶から消したいことがあるのだとか。

 「自分に自信がないから、全てのことに引け目を感じているんです。だから、思ってもみないことを言って、自分でビックリすることがある。『ああ、なんであんなこと言っちゃったんだろう』って、落ち込みながら終わる日が多い」と意外な一面も。「でも……翌朝になると、忘れていることが多いけどね」と茶目っ気たっぷりに笑う長澤、コメディー映画に愛された女優が、また1人誕生した。(取材・文:坂田正樹)

映画『50回目のファーストキス』は6月1日より全国公開

本文はここまでです このページの先頭へ