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世界が注目する規格外の16歳YOSHI、目標は「誰もが知る存在」

シネマトゥデイ

2019年9月9日 (月) 06時06分 更新

YOSHI

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 映画『まほろ駅前』シリーズや『さよなら渓谷』などのメガホンをとった大森立嗣監督が20年近く温めてきたオリジナル脚本で挑んだ『タロウのバカ』。本作で、演技未経験ながら主演に抜擢されたのが「NIKE」や「HELMUT LANG」など世界的ブランドのモデルや、アーティストとして活躍中のYOSHIだ。劇中では、粗削りながらも圧倒的な存在感で、共演の菅田将暉や仲野太賀といった実力派俳優と堂々と渡り合う。「面白いことしかやりたくない」と豪語するYOSHIとはどんな人物なのか、その素顔に迫る。

 本作は、父親がおらず、母親からネグレクトされ、学校も行ったことがないタロウが、高校生のエージ(菅田)、スギオ(仲野)と共に、拳銃を手に入れたことから、絶望と闇しか感じられない未来に対して行動を起こしていく姿を描く。主人公であるタロウに選ばれたYOSHIは、現在16歳の高校生。大森監督を「立っちゃん」と呼ぶ。

 何百人とオーディションをするなか、手垢のついていない素材にタロウを演じてもらいたいという監督の強い意向から、演技経験がまったくないながら、インスタグラムで独特の個性を発揮していたYOSHIにアプローチ。「最初、立っちゃんから母親に話が来たんです。親は過激な内容だったため、難色を示していたのですが、僕は脚本を読んで『世の中に伝えるべきことがある』と強く感じたので、やりたいと思ったんです」

 YOSHIが惹かれたのが、主人公たちの欲望だという。「人間の原点って“なにかをしたい”という欲望だと思うんです。でもいまの世の中、人と違ったことをすると叩かれたり、抑え込まれたりする風潮がある。それでマンネリ化してしまう。僕はそういうことが大嫌い。僕にとって目標のない人生=死なんです。『タロウのバカ』には、そういった圧倒的な欲望が描かれているのが、ものすごく自分に合っていると思ったんです」とオファーを受けた理由を明かす。

 共演者は菅田将暉、仲野太賀という、今後の日本映画を支えていくだろう若手実力派俳優。そんな2人の中央に主演として立つのがYOSHIだ。「僕は、有名とかキャリアとかまったく関係ないと思っています。もちろんリスペクトすべきところはたくさんありますが、同じ現場に立つ以上、常にフラットであるべき。監督も同級生だと思っています(笑)。日本の年功序列からくる閉塞感にはつまらなさを感じています」とまったく臆することなく撮影現場に向かった。

 こういったYOSHIの考えを、大森監督も菅田も仲野も面白がってくれる大らかさは、3人の関係性を生々しいものにした。「現場はスゲー楽しかった。『おい将暉ー』とかいう感じで……。撮影のあと、彼の家に遊びに行ってギターを弾いたり、みんなで歌ったり、銭湯に行って焼き肉を食べたり……そんな毎日でした」と撮影を振り返る。

 芝居についても、大森監督からは「自由に羽ばたくように」と言われていたという。大森監督の“なにものでもない存在”というコンセプトのタロウには、芝居の経験がないYOSHIの持つ、なにをしでかすかわからない危うさがシンクロする。「一度目は主観で、二度目は第三者目線でできあがった映画を観たのですが、はっきり言って最高でした。日本の歴史を変える作品になっていると思う」と満足そうに語る。

 モデル、音楽、アートなど、さまざまなジャンルで活躍しているが「満足した時点で人生は終わりだと思っている。それじゃあなにも面白くない」と断言。だからこそ初めてチャレンジした映像の仕事にも「めちゃめちゃ楽しかったけれど、満足はしていません。1を10にすることは、頑張れば誰にでもできる。0を1にする人間になりたい。その意味で、映画を作ることもいつかやってみたい」と思いは尽きない。

 「マイケル・ジャクソンやジミー・ヘンドリックス、カート・コバーン、ジャスティン・ビーバーのような、世界中の誰もが知る存在になりたい」と夢を述べたYOSHI。続けて「『こんな16歳がいるんだ』と僕が起点となって、もっと若い世代が、自分のやりたいことをどんどん始めてほしい。そうすれば、いまの世の中の閉塞感は打破できるかもしれない」と語気を強めると「日本と海外のグローバルな距離を近づける存在になりたい」と目を輝かせた。(取材・文・撮影:磯部正和)

映画『タロウのバカ』は9月6日より全国公開

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