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アカデミー賞作品賞、好き嫌いが激しく分かれる映画は不利!授賞式前に押さえておきたいポイント:第92回アカデミー賞

シネマトゥデイ

2020年2月9日 (日) 08時16分 更新

作品賞に輝くのは? - 『1917 命をかけた伝令』と『パラサイト 半地下の家族』のポスタービジュアル

作品賞に輝くのは? - 『1917 命をかけた伝令』と『パラサイト 半地下の家族』のポスタービジュアル

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 第92回アカデミー賞授賞式が、いよいよ明日に迫った。アワードシーズン滑り出しの時期には、東海岸(『アイリッシュマン』)対西海岸(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)の年かなどと言われていたが、今や『アイリッシュマン』をフロントランナーと呼ぶ向きは少数派。代わってトップに躍り出ているのは、年末に出てきた『1917 命をかけた伝令』だ。今作は興行成績が絶好調な上、オスカー作品賞と一致することが多い全米プロデューサー組合賞(PGA)を受賞し、英国アカデミー賞も作品賞を含む最多7部門で獲得するなど、完全に勢いに乗っている。(Yuki Saruwatari/猿渡由紀)

 オスカーの作品部門は、他の部門と違い、投票者が全候補作に順位をつける形で投票するため、なかなか予想が難しいのだが、同じ投票形式を使うPGAを抑えたことで『1917』の勝率はなおさら高まった。また、この形式では、好き嫌いが激しく分かれる作品は損で、「これならまあいいか」とみんなが感じる作品が有利。戦争もので、スリル、感動があり、アカデミーの風格を持つ同作は、多くの人にとって抵抗がない作品だ。さらに、その臨場感ゆえビッグスクリーンで観なければならないと感じさせることも、ストリーミングの脅威にさらされる今日、映画人たちから支持を集めると思われる。

 一方で、『パラサイト 半地下の家族』が取るべきだという声も、批評家を中心にかなり根強い。『パラサイト』は国際映画賞(旧・外国語映画賞)を取ることは確実ながら、それだけで終わらせてしまうのは、外国語だということに対する偏見にほかならないというのが、彼らの主張である。とりわけロサンゼルス・タイムズの批評家ジャスティン・チャンはずいぶん前から熱心に『パラサイト』の受賞をプッシュしており、本投票真っ最中の先週末には大きな記事を掲載したほどだ。彼の望む通り、作品賞でその壁を乗り越えられるかどうかはわからないが、同作は全米脚本家組合賞(WGA)を受賞しており、脚本賞は可能性が高いと思われるし、監督賞もありえなくはない。

 演技部門は、ほぼ固まった感じ。全米映画俳優組合賞(SAG)、英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)の受賞者は、主演男優がホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)、主演女優がレネー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)、助演男優がブラッド・ピット(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)、助演女優がローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)で、完全一致している。

 ただ、昨年のグレン・クローズの例もあるので、最後まで安心はできない(大本命と見られていたが、受賞したのは『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマンだった)。このままでは真っ白になってしまうため、唯一の黒人候補であるシンシア・エリヴォを推したいという気持ちもあるかもしれないし、また、主演男優部門では『ペイン・アンド・グローリー』のアントニオ・バンデラスの、抑えた、微妙なニュアンスのある演技を評価する声も強い。

 そもそも、そういったサプライズが何かないと、授賞式は面白くない。サプライズといえば、ホストがいなくなって2回目となる授賞式そのものがどうなるのかも、気になるところだ。昨年は、クイーンのメンバーの演奏で開幕したが、果たして今年はどうなるか。新鮮でクリエイティブなアイデアに期待したいところである。

第92回アカデミー賞授賞式は、2月10日(月)午前8時30分よりWOWOWプライムにて生中継

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