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テニス世紀の一戦『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』が描いたスポーツ選手の美学

ニック
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カッコイイ男の生き様が描かれた作品に胸が高鳴る「一本気なポプコニスト」。生涯ベストは、パチーノ&デ・...

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』予告編

スポットライトの魔力から逃れられない男がいる。

その男は、ウィンブルドンも制したことがあるテニスの名選手だった。かつては栄光に包まれていたが、いまはギャンブル依存症で妻に愛想をつかされている。唯一の楽しみは、夕食後に友人たちと賭けテニスをすることぐらい。『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は、己の人生に迷う男の姿で幕を開ける。

映画の冒頭、元王者は薄暗い一室でテレビのスポーツニュースを見ている。虚ろな目で見つめるその先にはテニスの女子選手が映し出され、彼女はカメラのフラッシュを浴びていた。そして、ブラウン管の向こうで笑みを浮かべる姿を遮るかのように、男はリモコンでスイッチを切ってしまうのだ。
「昔はオレもあのスポットライトを浴びていた......」
それは、自らの全盛期を懐かしむようなオープニングシーンだった。

(C) 2018 Twentieth Century Fox

本作は、1973年に全世界で9000万人が目撃した「テニスの男女対抗試合」を題材に、女子選手のビリー・ジーン・キングと元男子選手のボビー・リッグスの対決を描いている。

現役のテニス女王役のビリーは、『ラ・ラ・ランド』で2017年のアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーンがアスリートのような体に仕上げて熱演。一方の元王者役のボビーは、スティーヴ・カレルが再起をかける男を味わい深く演じた。

物語は当時29歳のビリーが男女の優勝賞金格差を訴えて、仲間たちと女子テニス協会(WTA)を立ち上げるところから進行する。それに対して、男性優位主義を代表して挑戦状をたたきつけたのが、表舞台から遠ざかっていた当時55歳のボビーだった。

男対女の異色のテニスマッチの実現は世間の関心を引いた。さらに、勝者には高額の賞金が積まれ、会場はメジャーリーグ球団のドーム球場という破格の舞台までも用意された。そして迎えた「性差を超えた戦い」は......。

(C) 2018 Twentieth Century Fox

試合のシーンは、テニスの本質をねじ曲げることなくダイナミックな描写で観客を「1973年の世紀の一戦」へと誘う。心に残ったのは、ゲームセットの瞬間の勝者と敗者のコントラストが印象的だったことだ。それは、スポーツ選手として、スポットライトを浴びた者だけが知りうる、美しいラストシーンだった。

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は公開中。

ニック
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カッコイイ男の生き様が描かれた作品に胸が高鳴る「一本気なポプコニスト」。生涯ベストは、パチーノ&デ・ニーロが共演した『ヒート』。

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