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本当にすてきな『ペンギン・ハイウェイ』を「くそ地獄」にせず楽しむ方法

へらへら眼鏡
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美しいものラブ。尊敬する監督はパク・チャヌク、2017年のベスト映画は「お嬢さん」。2018年のベス...

いつものようにTwitterをパトロールしていたときのこと。『ペンギン・ハイウェイ』というアニメーションは、「くそ地獄」「女性キャラクターが性的に消費され続ける」という、強烈なツイートを見かけた。ツイートしたアカウントは、アニメファンの方々にたたかれていた。

『ペンギン・ハイウェイ』で、Twitter検索をすると、相当数のツイートに「おっぱい」という単語が含まれている。おねえさんが、あまり現実的とは言えないサイズの乳房を、その男の子の頭にのせているファンアートまで、アップされている。

(C) 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

怖いものみたさで予告編をみると、夏休みの街、小学生たち、コーラの缶を投げる女性......それから大量のペンギンが描かれている。現代的できれいな絵柄だ。

これが、そんなにいやらしい破廉恥なアニメーションなのだろうか? ほとんどアニメーションを見ないわたしだが、気になって映画館に観に行った。そんなに気持ち悪いのなら、どれくらい気持ち悪いか観てみたい、という好奇心があったのは否めない。

(C) 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

原作は森見登美彦。監督は石田祐康。脚本は劇作家で劇団ヨーロッパ企画主宰・上田誠。音楽は阿部海太郎。

物語はこんなかんじ。なにごとにも研究熱心な小学生のアオヤマくん(北香那)が住む街に、ペンギンが大量発生する。いったいなぜ? あこがれのおねえさん(蒼井優)やウチダくん(釘宮理恵)、ハマモトさん(潘めぐみ)と謎を解き明かそうとするが、はたして......。

(C) 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

本当にすてきな映画だった。何度か涙が出た。

謎に全身で向かっていくアオヤマくんたちはすてきだ。出色だったのは、アオヤマくんとおねえさんが、たったふたりだけになる死後の世界のようなシーンと、おそらくサントリーニ島をモデルにしたと思われる、架空の街並みだ。現実世界は剥ぎ取られ、アオヤマくんのおねえさんへの想いが際立つ。あれはぜひ、劇場で鑑賞してほしい。

ちなみにあくまでもわたしにとってはだが、予想していたほど、気分が悪くなるような箇所はなかった。ノートの内容とか、ケーキとか、アオヤマくんのあのセリフとか、ハマモトさんのあのセリフとか、おねえさんの描かれ方などは、嫌悪感を持つ人はいるかもしれないとは思ったが、全体的には観客の欲望に奉仕しすぎないよう、最大限の配慮がされていたのではないかと思った。また、アオヤマくんの北香那の無性的な声、おねえさんの蒼井優の、よい意味でセクシーでない声もプラスだった。

(C) 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

なぜわたしにとってこの作品が感動的だったのか、実は理由がある。

打ち明けると、わたしはアオヤマくんとウチダくんを「ボーイッシュな女の子」として鑑賞していた。絵柄はかわいらしく、声をあてているのが全員女性なので、まったく違和感がない。男子ふたりを女子ふたりに脳内変換すると、とても知的な女子小学生たちのひと夏の大活躍という、世界最先端の映画として観ることができる。そのようにすると、あくまでわたしにとってはだが、大変おもしろかった。

(C) 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

わたしに『ペンギン・ハイウェイ』を観るきっかけをつくってくれたTwitter投稿者や観てみたいけどなんだか不安だなぁと思っている方々にお伝えしたい。完璧な作品はないし、スクリーンに映し出される状況を受け容れる必要はないけど、Twitterの感想だけを読んで観ないと決めつけてしまうには、もったいない作品だ。アニメーションだからこそ可能なこんな鑑賞方法、お試しいただけないだろうか。ダメか?

『ペンギン・ハイウェイ』
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美しいものラブ。尊敬する監督はパク・チャヌク、2017年のベスト映画は「お嬢さん」。2018年のベストは『タクシー運転手』か『アイトーニャ』になりそう。人生で一番繰り返し観た映画は『タイタニック』最近観てよかったのは 『ラジュテ』。最近、自主制作映画がきになる。

記事はここで終わりです。

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