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えっ、あの数字にこんな意味が?素晴らしき『銀河ヒッチハイク・ガイド』の世界

スーパーネイチャー
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マトリックスをSF金字塔と崇め、過去19回視聴。今年は念願の20回目に挑戦。鑑賞映画1700本、超大...

先日、「民間水族館が閉館、イルカなど引き取りないまま」とのニュースがあった。

善良なる市民は「イルカがかわいそう、早く何とかしてあげないと」と思うだろう。だがわれわれは一般人とは異なる、何でも映画のワンシーンが思い浮かぶ悲しき性。真っ先に脳裏を過るのはあの映画しかない。そう、『銀河ヒッチハイク・ガイド』だ。

ある日突如、宇宙規模の工事のために地球が取り壊され、唯一生き残った英国人のアーサーが親友の異星人とヒッチハイクを繰り返し、広大な宇宙を旅する。道中でさまざまな惑星や地球外生命体に遭遇しながら、自分の生きる道を見つけていく。劇中で役に立つのが、宇宙最大のベストセラーである「銀河ヒッチハイク・ガイド」。地球でも売っているので、本屋かネットショッピングサイトでぜひ、手にとって見て欲しい。このガイド書を片手に冒険を繰り広げるのはドラマ『SHERLOCK』シリーズのワトソンで有名なマーティン・フリーマンだ。この時から振り回され役が似合っており、ワトソンを思い出しては思わずニヤリとすることだろう。

TouchstonePictures/Photofest/ゲッティイメージズ

人間万事連想ゲームだと思っている。お笑いが面白いのも、巧みな話術でそこにないものをあたかも「ある」ように見せるから。映画やドラマで面白い脚本と言われるものも、その連想を無理なく上手につなげていけるから。やや脱線するが、オヤジの靴下と言われて皆さんはどう思うだろうか。臭い、汚いと連想する人が大半だろう。こちらが提示した「オヤジの靴下」にそんな描写は一切ないし、もしかして洗い立ての新品かもしれない。それでも連想してしまうのが、「オヤジの靴下」魔力だ。しかしその魔力をさらに一段と高めたのが、『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』という作品である。しんちゃんの父、野原ひろしの「オヤジの靴下」が作品のキーアイテムになるのは、鑑賞したことのある人なら有名な話だ。本コラムでこれ以上触れるとネタバレになるので、また別の機会に鑑賞録を記したい。

話を『銀河ヒッチハイク・ガイド』に戻そう。本作にも多くの連想ゲームが含まれている。42だ。秋葉原が48だとか、乃木坂が46という話ではない。もっと大きな、宇宙レベルで重要な数字、それが42だ。うそだと思うならヤフーで検索するといい。「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」と出てくるだろう。そう、その出展元こそ本作なのだ。何かあれば42と答えれば、まず間違いない。これを書いているのは夏休み最終日だが、山のようにたまった宿題にも一問残さず42と書き込めば、キミも満点間違いナシだ。先生に怒られたらこの映画を薦めよう。今日から人生バラ色だ。

ところがこの42は万能ではない。そもそも、ある宇宙人が上記の「答え」を計算するためにスーパーコンピューターを作り、750万年かかって導き出したのが42だが、これはスーパーコンピューターが「究極の答え」に対応する「究極の問い」が分からないから「答え」の意味が分からないのだ。正しい答えを見つけるためにはまず正しい問いをせよ、というわけで作られたのが生体コンピューター「地球」。正しい問いを導き出す5分前に破壊されたことにより、「究極の問い」は永遠に失われた。大学の卒論を提出する5分前に、パソコンがフリーズしてデータが消えた経験のある方なら、その口惜しさをお分かりいただけるだろう。

TouchstonePictures/Photofest/ゲッティイメージズ

かくして宇宙規模の42を巡る冒険と、イチ市民でしかないアーサーのごく個人的な哀愁に満ちた放浪が重なって物語は展開していく。勘のいい読者ならここで気が付くだろう、もしかしてアーサーの行動が「究極の問い」につながっている? だが本作ではその答えは提示されない。だからこれはネタバレでもない。ネット上の考察によっては関連性があるとする意見もあるが、考察サイトが多数あるため、自分の目で確かめてみて欲しい。唯一言えるのは、それだけ多くの考察を生み出せるほどに本作は優れた連想ゲームなのである。象を考えるなと言われたら『インセプション』だし、そこにスプーンはないと言われたら『マトリックス』である。この世のありとあらゆることが何らかの映画に紐付けられると思っているスーパーネイチャーも将来何らかの映画と紐付けてもらえたら本望だと思っている。ぜひあなたも、この映画を観てポプコニストの世界に足を踏み入れてみて欲しい。

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えっ、宇宙の話なのにイルカがどう関係するか、説明されてないって? それは見てのお楽しみだ。

銀河ヒッチハイク・ガイド
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マトリックスをSF金字塔と崇め、過去19回視聴。今年は念願の20回目に挑戦。鑑賞映画1700本、超大作からミニシアターまでこなすオールラウンダー。

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