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『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』はインド中華の味わい

バラトヒポ
バラトヒポ

好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。

「インド人が本場の中華料理を食べるとビックリするんですよ」
ムンバイに向かう飛行機の中、以前、日本で働いていたというIT会社の経営者はニヤリと笑って教えてくれました。高級店でもないかぎり、インドで食べる中華料理はインド人の好みに合わせた「インド中華」。中国に行って、いつもの味を期待していたら「マサラ(香辛料)が入ってない」と驚くそうです。確かに現地で食べた福建焼きそばはやけにスパイシーでした。

インドは世界一映画を製作する国。その数はアメリカや中国の2倍以上の年間1000本以上ともいわれています。しかし、日本で公開されるインド映画はほんのわずか。米経済誌「フォーブス」が8月に発表した「最も稼いだ男優」で、7位にランクされたインドのトップ俳優アクシャイ・クマールも日本ではあまり知られていないのが現状です。

そのキャンペーン「パッドマンチャレンジ」も話題になった『パッドマン 5億人の女性を救った男』が日本で12月に公開されるというニュースでは、後半に少ししか顔を出さない作品が紹介されていました。インドであれば『パッドマン』のような社会派ドラマ、シリアスなサスペンス、アクションやコメディーもこなしているので逆に何を紹介すればいいのか難しいくらい。また「インドのジョージ・クルーニー」と呼ばれるという記事も見かけましたが、英語のインタビューにもヒンディー語交じりで応える彼には、押し出しが強くて、明るく、しぶとい庶民派といった印象があります。そんな彼が主演したアメリカ・インドの合作『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』は日本でも2009年に公開されました。

デリーの旧市街チャンドニー・チョークにある小さな料理店のコックのシドゥ(アクシャイ・クマール)。孤児だった彼を育てた親方(ミトゥン・チャクラバルティー)に叱られても、野菜を刻む暮らしから抜け出したいと占い巡りの日々。そこに彼を伝説の勇者の生まれ変わりと信じる中国人が現れます。通訳した占い師が「残忍なギャングのボス北条(ゴードン・リュウ)を倒してほしい」という彼らの願いを隠しているとも知らず、シドゥは喜んで中国に向かうのですが......

WarnerBros./Photofest/ゲッティイメージズ

残念ながら名作とは言えません。ベタなコメディー、チャチな特殊効果、いかにも都合のいい小道具。ストーリーは強い敵に徹底的にやられた後、努力してやっつけるという定番で矛盾点も多く、テンポもいまひとつです。

どこか間抜けで情けなくてツイテいないシドゥの姿はベタでも笑わせてくれます。それがカンフー流の修行の後は一転。締まった表情でキレのいいアクションを見せ、ヒロインを演じたディーピカー・パドゥコーンとはダンスも披露します。ちなみに、彼女の中国宮廷風の衣装を拝めるのはこの作品だけ。そして「自分を信じろ」と何度も諭す親方との絆もジーンとさせます。本作はコメディーにアクション、さらに美女に人情とエンターテインメントに真っすぐなインド映画らしい内容です。

WarnerBros./Photofest/ゲッティイメージズ

WarnerBros./Photofest/ゲッティイメージズ

中華料理もインド人も好みに変えてきたように、ボリウッドがアレンジしたカンフー映画はマサラたっぷり。最後にダンスシーンを入れただけの「インド映画風カンフー」よりも数段刺激的ですよ。

『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』
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好みの映画が日本で公開されることが少ないインド映画好き。興行収入の数字で熱くなれる体質。

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