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のっぺり生きたい人は観ちゃダメ!
魂を揺さぶられるカンヌグランプリ受賞フランス映画『BPM ビート・パー・ミニット』

アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をや...

フランス映画って、ノリが分かんないの多いなーって思ったことありませんか?
私はモロ、そうです。

ハリウッド映画みたいな笑えるポイント、泣けるポイントがよく分からない。
「え、ここで終わり?!」ってシーンでいきなり終わる。
などなど。

でも、観た後に何かずーっと考えてしまうのもまたフランス映画なんですよね。
余韻がすごい。

『BPM ビート・パー・ミニット』を映画館で初めて観たのは今年の春頃だったか。けどいまだに尾を引いています。

写真:アフロ

映画の舞台は1990年代初頭、パリ。
実在したHIV /エイズ活動団体「ACT UP」のメンバーたちの活動や日常を描きながら、スクリーンの前でポップコーンをほおばる私たちの、日本でののっぺりした生き方について問いかけてくる(ような気がする)。

ACT UPには、
エイズウイルス陽性・陰性の人
自身がエイズを患っている人・家族がエイズを患っている人
大人・子供
男性・女性
さまざまな人がいる。
彼らは集会場に集まって、HIV/エイズの啓発活動や、政府・製薬会社への抗議活動などについて、夜な夜なアツい議論を展開する。そして街に出て、過激なデモ活動を繰り広げる。

ACT UPに新しく入会したナタンは、集会で激アツに議論するショーンに出会い、彼のユーモア、チャーミングさに惹かれていく。
ナタンとショーンはACT UPの活動を通じて濃密な日々を過ごすようになるが、そんな2人の関係をぴったりと後ろから不気味に追いかけるように、ショーンの体は確実に、エイズウイルスに侵されていく。。。

写真:アフロ

この作品では、HIV陽性者やセクシャルマイノリティーに対する差別や偏見、それに対するデモ活動など、社会的なテーマにフォーカスすることもできる。
でもやはり、ナタンとショーンのプライベートな部分、「生」に対する姿勢にフォーカスをあてて鑑賞してみたい。

劇中で登場するシーンのいくつかは、人によっては、受け入れられないものもあるかもしれない。

ある日、ショーンたちは、製薬会社に抗議活動をするために、勝手にオフィスビルに入って、従業員の人たちが普通に働いているところに、血にそっくりな真っ赤な液体をオフィス中にぶちまける。ちょっと気持ち悪い。

「・・・ちょっと待って、落ち着いて。なんでそんなことするの?」
と製薬会社の人たちはドン引きでそんなことを言う。

けど、ショーンはやめない。

別の日、ショーンたちは、エイズへの無関心に抵抗するために、勝手に学校に入って、コンドームを生徒たちに配りまくる。生徒たちは引き気味。

「私には関係ない。」
女子学生に冷たい言葉を掛けられる。

けど、ショーンはやめない。
彼女の目の前で、ショーンはナタンにいきなりキスをする。
そしてこの表情。

(C) Celine Nieszawer

自分には今日と変わらない明日が訪れると思っている人にとっては、理解不能な行動の数々。
でももし、その明日が訪れないとしたら?
何かをやらなかったということを後悔できるだろうか。
後悔する時間もないかもしれないのに。

ショーンとナタンの日々のような、濃密な日々を私たちは送っているか?
・・・心からやりたいこと、やらなきゃと思っていること、体が自然に反応してしまうこと。

「あー やっときゃよかった」じゃなくて、
「あー やってよかった」で終わっているか?
少なくとも、「あー こうしときゃよかった」でちゃんと終わっているか?

別に結果的に昨日と同じ明日が訪れたっていい。
どっちの生き方が、より濃密な毎日につながっているか?

『BPM』は、私たちの「普通の日常」にいろいろなことを問いかけてくる。

(C) Celine Nieszawer

「BPM」とは、「Beats Per Minute」。
医学用語で心拍数の単位を表すが、音楽用語ではテンポの単位を表しているらしい。

映画の原題は『120 battements par minute』。
メトロノームの重さを、真ん中よりちょっと下に合わせるくらいの速さだ。
Allegro(アレグロ)よりちょっと遅く、Moderato(モデラート)、Allegretto(アレグレット)よりは速い。
かなりドキドキだ。

・・・さて、あなたは、毎日どのくらいのBPMで生きていますか?

『BPM ビート・パー・ミニット』
Yahoo!映画 作品詳細ページへ
アカリ
アカリ

恋愛映画&人生映画が大好物。大学時代に観る専だと勘違いして入った映画研究会で、自主制作映画の女優をやらされた経験アリ。『Lolita(1997)』『SATC』大好き。

記事はここで終わりです。

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